薪ストーブでは電気ストーブやエアコンでは感じる事のできない遠赤外線のポカポカな暖かさを感じる事ができます。そのレトロな雰囲気や炎が揺らぐ姿はとても魅力的ですよね。
そんな薪ストーブですが、難しいのが薪の確保。
薪ストーブ初心者の方ですと、薪は山中を探せば適当に集まるなんて思いがちですが、正直そんなに甘くはありません。
山中にある枝などでは、雨で含水率も高くなっているので燃えづらいなどなかなか上手くはいかないものです。
そこで、今回はしっかり事前準備しておくべき薪ストーブ用の薪の確保方法について解説していきたいと思います。
ぜひ最後までご覧ください!
薪ストーブの使用量
先述した通り、薪ストーブにはたくさんの魅力がありますが、シーズン中に薪ストーブだけで暖を取り続けると膨大な薪が必要で調達や運搬も大変ですよね。
ワンシーズン(4〜5ヶ月)で最大トン単位の薪を使うこともありますが、その薪を全て購入するのはお金もかかりますし、無料で貰ってきた木を薪にするのは楽しそうですが、重労働です。
そのため、灯油のストーブなども組み合わせて使い、とっておきの日だけ薪ストーブを使用するといった方法もおすすめです。
色々な調達方法を組み合わせて、楽しく薪ストーブライフを楽しみたいですね!
以下で具体的にワンシーズンどれくらいの薪が必要となるのか、4つのシーンに分けてシミュレーションしてみたので、参考にしてみてください。
①定住者:毎日薪ストーブのみを使用する場合
前提として、薪の使用量は薪ストーブの機種や薪の種類、燃焼方式、大きさ、設置場所などによって変わります。
ここでは1本あたり約1㎏(長さ30㎝から34㎝)の薪を使用し、1本あたりの金額を115円とします。
8時間使用したとすると、薪は20本(約20㎏)ほど必要となるため2300円の費用がかかります。
したがって、1ヶ月(30日)は600㎏で69,000円。1シーズン(4ヶ月)2400㎏、276,000円となります。
②定住者:1日3時間薪ストーブ、メイン暖房を石油ストーブとする場合
このパターンでは薪ストーブを3時間、石油ストーブを5時間使用すると仮定します。
上記の薪の使用量の条件に合わせた場合、3時間で薪は約8㎏必要で、費用は920円となります。
石油ストーブは、灯油を燃焼させ、ふく射熱と放射熱で部屋全体を暖める仕組みとなっています。
そんな石油ストーブを5時間使用した場合、1時間あたりの燃料消費量が約0.3リットルほどなので、灯油代を1リットルあたり64円として計算すると、1時間あたりの灯油代の目安は20円になります。
上記をまとめると8時間で約8kgの薪と1.5リットルの灯油が必要で、費用は1日あたり1120円となります。
したがって
薪は1ヶ月(30日)で240㎏、1シーズン(4ヶ月)960㎏
灯油は1ヶ月(30日)で45リットル、1シーズン(4ヶ月)180リットル必要となり、
費用は合わせて1ヶ月(30日)で33,600円、1シーズン(4ヶ月)で134,400円がかかります。
③二拠点生活者:薪ストーブのみを週末だけ使用する場合
週末だけ薪ストーブを使用し生活する場合、上記と同じ条件で計算すると
1ヶ月100kgの薪が必要で11,500円。1シーズン(4ヶ月)400㎏、46,000円となります
④二拠点生活者:1日3時間薪ストーブ、メイン暖房を石油ストーブにし週末だけ使う場合
上記で計算した通り、石油ストーブと薪ストーブを組み合わせて使用する場合、合計8時間で約8kgの薪と1.5リットルの灯油が必要で、費用は1日あたり1120円となるため、
週末だけ使用したとすると
薪は1ヶ月で40㎏、1シーズン(4ヶ月)160㎏
灯油は1ヶ月で7.5リットル、1シーズン(4ヶ月)30リットル必要となり、
費用は合わせて1ヶ月で5600円、1シーズン(4ヶ月)で22,400円がかかります。
覚えておきたい薪の確保のポイント
薪の確保ですが、前提として調達する木には原木、丸太、薪の3種類があります。
原木を購入する場合は、チェーンソーでカット(玉切り)をした後に薪割りを行う必要があります。
※おすすめのチェーンソーについてはこちらの記事で詳しく解説しているので、合わせてチェックしてみてください。
これらを把握して、適切な薪の確保を行いましょう。
①薪は針葉樹と広葉樹がどちらがいい?
多くの薪販売店では、【針葉樹】と【広葉樹】に分類分けされています。
針葉樹は、葉が針のように細長い松や杉の木など、広葉樹は、葉が広く平たい桜や欅の木などになります。
薪として使用する場合の、針葉樹と広葉樹の大きな違いは、「重さ」です。
針葉樹は軽く、広葉樹はずっしりと重いため。重さ=燃費につながっています。
重い方が火持ちは良いので、薪ストーブには針葉樹で焚き付けに使い、長時間暖め続けるのに広葉樹を使うのがベストといえます。
先述した通り、燃やし方、炎の大きさ、風の状況などにもよりますが一束(2~3kg)で針葉樹は1〜2時間、広葉樹であれば3〜4時間くらいは持ちます。
薪ストーブを使用する時間から逆算して必要な薪の量を計算することができますが、予想よりも強風だった場合や薪が一気に燃え上がってしまった場合などを考慮して少し多めに用意しておくのが良いでしょう。
②薪の含水率に注意
販売されている薪では、含水率は20%くらいですが、伐採直後の薪では50%を超える含水率となっています。
含水率が高いと、薪に残っている水分が蒸発してから薪が燃えるため、まず蒸発にエネルギーが奪われ、その分の熱は暖房に利用できず非効率的になってしまいます。
また熱効率が悪いだけでなく、煙突が早く詰まり煙突火災につながってしまう場合もあるので、きちんと乾燥させることが大事です。
薪ストーブにベストな含水率は15%前後とされているため、販売されている薪であっても、できればすぐに使うのではなく、数日乾燥すると、より燃えやすい薪となるでしょう。
原木から玉切りし、薪にする場合は乾燥に6ヶ月から1年ほどかかります。薪は湿度に影響を受けるため保管する際には風通しの悪い場所や湿気の多い場所を避けるようにしましょう。
薪の乾燥方法
ここでは具体的な薪の乾燥方法を解説していきます。
ステップ1
原木をチェーンソーで玉切りし、そこからオノを使用し直径20cm以上の薪にカットしていきます。カットした薪はすぐに棚に積まずに、そのまま外で風や太陽が当たるように積みあげ2ヶ月ほど放置します。
この時に、雨に濡れても良いのかと疑問に思われるかも知れませんが、実は雨に濡れることで薪の中にある管のような物から樹液が流れ落ち、これが流れ落ちると乾燥も早くなります。
ステップ2
次に太陽の下で風を当てやすくするために井桁を組んで積みます。薪を使用する1ヶ月から2ヶ月までこの状態にしておくとしっかりと乾燥させることができます。
ステップ3
薪を使用する1ヶ月前になったら屋根のある薪小屋に移します。この時点でしっかりと乾燥しているため井桁状に積む必要はありません。
③運搬の手間や車が汚れることにも留意
薪はどうしても自然のもののため、自分で運搬しようとすると、車が汚れてしまい、余計な清掃代がかかることもあります。
多少は運搬費がかかるかもしれませんが、別荘の薪ストーブでの利用など場所が特定されている場合は、運搬する手間が省ける郵送してもらう形が便利といえます。
薪ストーブ用に薪の確保方法
では次に主な薪の確保方法として、以下の8つの方法を紹介したいと思います。
- 薪専門店で購入する
- ホームセンターで購入する
- インターネットショップで購入する
- 市町村のゴミ処理センター など公共サービスで譲ってもらう
- 地元の森林組合や営林署に問い合わせてみる
- 薪ストーブ仲間を作る
- 薪ストーブクラブに加入する
- 立木を伐採する
薪の確保にはさまざまな方法が考えられるので、より自分にとってやりやすい方法を見つけておきましょう。
①薪ストーブ専門店で購入する
主に別荘地やキャンプ場が多くある地域に「薪専門店」があり、薪ストーブに最適な含水率の少ない薪を手に入れることができます。
検索エンジンで「薪販売 〇〇(地方名)」と別荘の、キャンプ地の地方名で検索すると、近くの薪専門店が見つかると思います。
配送を行っているところもあり、家などその場にいながら大量の薪を手に入れることも可能です。
例えば、「薪 八ヶ岳」で検索すると、以下のような薪ストーブ専門店がヒットします。ここではその中から2つご紹介します。
①富士見高原別荘地
針葉樹(赤松・唐松)薪バラ40㎝:400円~、広葉樹(ナラ・クリ・サクラなど):700円~販売しており、軽トラック1台分、2tトラック1台分といった大量の薪の確保も可能です。
販売されている薪は、富士見高原の良質な薪となっており、有料(富士見町・原村・茅野市・北杜市:3,000円、諏訪市・韮崎市:5,000円)ながら近隣であれば配送も行っています。
住所 | 〒399-0101 長野県諏訪郡富士見町境12067 |
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Tel | 0266-66-2121 |
薪の種類 | 針葉樹(赤松・唐松) 広葉樹(ナラ・クリ・サクラなど) |
価格 | ●針葉樹(赤松・唐松) ・薪バラ積み40㎝タイプ 軽トラック1台分 ¥10,000 (税別) ・玉切りタイプ 40cm 軽トラック1台分 ¥7,000 (税別) 2tダンプ1台分 ¥14,000 (税別) ・丸太タイプ 2.0m 軽トラック1台分 ¥5,000 (税別) ・丸太タイプ 4.0m 2tダンプ1台分 ¥10,000 (税別) ・薪バラ40㎝ 一束 ¥400 (税別) ● 広葉樹(ナラ・クリ・サクラなど) |
配送料 | 富士見町・原村・茅野市・北杜市 ¥3,000 諏訪市・韮崎市 ¥5,000 ※富士見高原別荘区の方は配送無料 |
HP | https://fujimikogen-home.jp/firewood.html |
②天女山
八ヶ岳周辺のナラ等、薪用の原木を取り揃えいる薪専門店です。
こちらは薪の販売は行っていないため、購入した原木をご自分で薪割りをする必要があります。
2tトラックでの配送は、北杜市(小淵沢町、長坂町、高根町、大泉町)内であれば無料配送な点も嬉しいところです。
住所 | 〒4091501 山梨県北杜市大泉町西井出8240-1726 |
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Tel | 0551-38-1154 |
薪の種類 | ナラ・クヌギ 広葉樹MIX(サクラ・クリ・シラカバ ハンノキ・ミズキ・ニセアカシア等) カラマツ・アカマツ |
価格 | ナラ・クヌギ(1t) 13,000円 税込 広葉樹MIX(1t) 8,000円 税込 カラマツ・アカマツ(1t) 6,000円 税込 ※全て原木となります。 ※基本的な長さは4mです。場合によっては2m、3mの物になる場合があります。 |
配送料 | 北杜市(小淵沢町、長坂町、高根町、大泉町)は無料。 その他地域の配送料は要相談 |
HP | https://tennyosan.com/index.html |
②ホームセンターで購入する
近年のキャンプブームもあって、多くのホームセンターでも薪の販売をしています。
ホームセンターでは、段ボールに詰められていたり、紐で梱包されていたりするので運搬が楽です。
あくまでもホームセンターでの販売は卸で入荷しており、売り切れの場合もあるため、事前に確認、予約をしておくと無難でしょう。
また、特にキャンプなど野外での使用の場合、より燃えやすく火持ちが良い広葉樹がおすすめです。
広葉樹や針葉樹化は見た目では分かりづらいので店員さんに尋ねてみると良いと思います。
③インターネットショップで購入する
特に別荘での薪ストーブに使う薪といった、特定の場所が決まっているような場合は、インターネットショップでの通販も便利です。
通販の場合、一般的なネットショッピングと同様、家まで運搬してくれるので、家にいながら薪の確保ができる便利さがあります。
薪販売のインターネットショップは以下のような店舗があります。2つ紹介していきます。
①薪の丸実
こちらのショップでは新潟最北の里山で伐採した楢の木が通販で販売されています。
ストーブ・暖炉用に最適な直径8~17cm(中割~大割)の良質な100%広葉樹の薪から、たき火のたきつけ材として使用できる薪まで幅広いラインナップがあります。
さらにご自分で薪割りを楽しみたい方向けに、原木や丸太の販売もされています。
薪の種類 | ナラ ナラmix(ケヤキ、ホオノキ、山桜等) 桜 生の薪(未乾燥)<3月~6月限定> |
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価格 | ナラ1箱(約18kg):2200円 ナラmix1箱(約14kg):2200円 桜:直接お問い合わせ下さい 生ナラ(未乾燥)1棚(約450kg):18,000円 原木・丸太 4t 60000円 |
配送料 | 【ゆうパック】ダンボール便 関東地方:765円 関西:907円 九州:1,425円 【運送会社】トラック便 重さ(kg)×距離(km)=送料 |
HP | https://www.maki-marumi.jp/ |
②薪の松尾
信州の山林で育った雑木の薪ストーブ用に使うナラ・クヌギ薪や広葉樹混合薪、焚き付け薪や陶芸用アカマツ薪まで、冬の農閑期に地元の方々の協力により幅広いラインナップで販売されています。
業務用のロット単位の大口注文も受け付けているので、大量発注も可能です。
薪の種類 | ナラ・クヌギ 広葉樹混合 針葉樹(松、杉) |
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価格 | ナラ・クヌギ: 6,400円(税込)/100Kg 広葉樹混合薪:5,400円(税込) /100Kg 針葉樹(松、杉)6,600円(税込、送料込) /2箱(8束) |
配送料 | 【ヤマト運輸】 100Kg/3580円 200Kg/4800円 300Kg/6070円 |
HP | https://makinomatsuo.com/ |
④市町村のゴミ処理センター など公共サービスで譲ってもらう
各自治体で、公園や道路沿いの街路樹などの剪定枝を譲ってくれるところもあります。
ただいつもあるわけではないので、各自で自治体に問い合わせて確保してもらいましょう。
販売している薪が異なり、含水率が高いものも多く、すぐに使うと燃えにくい可能も高いので、数日乾燥してからの使用をおすすめします。
もちろん運搬はなく、自身でゴミ処理センターに行く必要がありますが、無料で譲ってもらえる場合が多いのでお得に薪の確保が可能です。
⑤地元の森林組合や営林署に問い合わせてみる
上記のごみ処理センター同様、地元の森林組合や営林署に問い合わせてみると、運が良ければ伐採後すぐの枝木や薪を手に入れることができるかもしれません。
ただ、こちらも販売している薪の異なり、含水率が高いものも多く、すぐに使うと燃えにくい可能も高いので、数日乾燥してからの使用をおすすめします。
⑥薪ストーブ仲間を作る
「ジモティー」のようなメンバー募集をしているサイトや、TwitterなどSNSで薪メンバーで検索すると、薪集め仲間募集が多く出ています。
なかなか一人で山中で探そうとすると難しいですが、仲間で連なって探すことで、薪探しのプロ並みの人もいるでしょうし、無料で薪の確保がしやすいです。
薪ストーブ仲間を増やしていくコミュニティを形成するため、仲間たちに連絡先の書いてある名刺等を配って、仲間を広げていきましょう。
⑦薪ストーブクラブに加入する
TwitterやFacebookなどには、薪ストーブクラブのようなサークルが自発的に出ていて、メンバーの募集をしているところもあります。
だいたいは地域ごとにコミュニティができているので、自分の別荘、よくキャンプに行く地に近いコミュニティサークルを探して見ましょう。
⑧立木を伐採する
これはあくまでも自分の所有地である場合に限る場合ですが、私有地内の立木を伐採する古来からの薪確保のやり方で集める方法もあります。
しかし、私有地であっても伐採及び伐採後に届け出が必要になります。
これは、森林の伐採及び伐採後の造林が市町村森林整備計画に適合して適切に行われ、健全で豊かな森林を作ることができるようにするためで、届け出は、伐採を始める90日から30日前まで、伐採する森林がある市町村長に提出となります。
もし、届け出を出さないと、森林法第207条により、30万円以下の罰金に処せられますので注意しましょう。
また、思ったほどすぐには集まりませんし、集めても含水率が高いのでしばらく乾燥する時間を設ける必要があります。
まとめ
雰囲気が最高の薪ストーブですが、薪が無くなってしまったら元も子もありません。
ここまで解説してきたように、薪の調達には様々な方法があります。また一口に「薪」と言っても原木や丸太などたくさんの種類が存在します。
手間と費用を考え、様々な調達方法を組み合わせてバランスをとるのがおすすめです。
例えば使用量が少ない方であれば、時間や手間はかかりますが、原木や丸太を購入することでコストダウンを図って薪が足りなくなったら追加購入したり、使用量が多い方は大量に薪を買った方がコスパが良いかもしれませんね。
また購入する方法以外にも、無償で手に入れられる方法もあります。
上手くコミュニティを形成して、安定した薪の確保をして薪ストーブライフを楽しみましょう!