みなさんは「セカンドハウス」という言葉をご存じですか?
セカンドハウスとは文字通り2つ目の家ということですが、別荘とは異なります。またセカンドハウスと認められるには様々な条件があり、認められるとたくさんのメリットもあります。
そこでこの記事ではセカンドハウスとは何か、どんな条件があるのかやローンを組む際の注意点などを徹底解説していきます!
セカンドハウスとは
セカンドハウスは自宅と別に所有するもうひとつの家です。
それって別荘のこと?と思われるかもしれません。
しかしながらセカンドハウスは別荘とは異なります。どちらも生活の基盤となる住居以外の、もうひとつの住居という点では変わりませんが、使用の目的が大きく違います。
別荘は保養やバカンスなどが目的のいわばぜいたく品。一方セカンドハウスは職場への通勤のためなど生活の拠点となる、日常生活に必要な第2の自宅と考えるとわかりやすいでしょう。
つまりたとえリゾート地に立地していたとしても、日常生活に必要なものであればそれはセカンドハウスとなります。
セカンドハウスと認められる条件とは
別荘とは違うセカンドハウスですが、実際にどうすればセカンドハウスと認められるのでしょう。それにはある程度具体的な条件があります。
月に1度滞在すること
セカンドハウスと認められるには、「月に1日以上は滞在している」ことが条件です。
では週末の休養だけのために住居を購入するのはどうでしょう。こちらは一見別荘のように思われるかもしれませんが、月に1日以上滞在するという条件を満たしています。
つまりこれも立派なセカンドハウスです。
どうやって証明する?
では月に1日以上滞在していることを誰にどうやって証明すればいいのでしょう。
結論、証明先はセカンドハウスの所在地である市町村、証明方法は電気料金の明細書の提示が多いです。
これは、たとえ1泊でも住居に滞在していたら電気が必需品だからです。つまり電気使用の実態を示すことにより、セカンドハウスとして使用しているという証明ができます。
ただし、証明方法は市町村によって変わりますのでご自身でご確認ください。
セカンドハウスを持つメリット
セカンドハウスがどのようなものかある程度お分かりいただけたでしょうか。では次にセカンドハウスを持つことのメリットについてみていきましょう。
①リフレッシュできる
目的や立地にもよりますが、セカンドハウスを持つことは心身ともにリフレッシュするのに最適です。セカンドハウスは都内でなはく地方に建てる方のほうが多いため、セカンドハウスに行くことによって旅行気分も味わうことができます。
また、自宅ではなかなかできない趣味に没頭することにも適しています。
もしセカンドハウスを持つ目的が週末に利用するスタイルなら、自然に囲まれた景色の美しい場所を選ぶことで本宅とはまた違った時間が満喫できるでしょう。
②資産形成が可能
ライフスタイルの変化によってセカンドハウスが必要なくなった場合でも、賃貸物件として家賃収入を得たり、売却して老後の生活資金に充てるという選択肢を検討することができます。
※必ずしも家賃収入や売却が見込めるとは限らないので、注意が必要です。
また事業投資を始める際に金融機関から融資を受ける場合には、セカンドハウスを担保にすることも可能です。
③安価に購入できるケースも
セカンドハウスを購入するのは、なにも新築住宅とは限りません。空き家や古民家を取得し、リフォームするのもひとつの選択肢です。
リフォームの場合、新築住宅を購入するよりも、安価にセカンドハウスを取得することができ、初期費用はぐっと抑えられます。
セカンドハウスの税制面の優遇措置
セカンドハウスは不動産のため、固定資産税をはじめとした税金を納付しなければなりません。ただしセカンドハウスは別荘とは用途が異なるため、税制上優遇されている部分があります。
つまりセカンドハウスであることを証明する目的は、税制面における次のような優遇措置に拠るところが大きいといっていいでしょう。
①固定資産税
固定資産税は各年の1月1日時点で住居用となる土地・建物といった資産を保有していると課税される市町村税です。
セカンドハウスでは以下のように減額されます。
200平方メートルを超える場合であっても200平方メートル以下の部分については評価額の6分の1となります。また固定資産税に関しては市区町村側で手続きを行うため、納税者が申請する必要などはありません。
②都市計画税
都市計画税も固定資産税と同じく市町村税で、都市計画区域内の土地・建物に対して課税されます。
セカンドハウスは都市計画税についても減税措置が受けられます。
③不動産取得税
不動産取得税は不動産を取得した際に課税される地方税です。
セカンドハウスにおける軽減措置は土地と建物についてそれぞれ異なります。
建物の控除額は45,000円、あるいは(1平方メートル当たりの固定資産税評価額×1/2)×(課税床面積×2[200平方メートルが限度])×3%
このほか、建物の控除額は市町村、築年数によっても異なるので確認が必要です。
セカンドハウスの購入資金
税制面で優遇措置を受けられるセカンドハウスですが、購入資金はどのように準備すればよいのでしょう。
資金的に余裕がある場合、キャッシュも検討できますが、住宅に関わる資金は大きいため、一般的にはローンによる購入を検討することになります。
ただし、セカンドハウスの購入には通常の住宅ローンを利用することができません。
購入に利用できるローン
セカンドハウスの購入で通常の住宅ローンが利用できないのは、住宅ローンが日常的に所有者が居住する目的の家屋の購入に利用することを前提としているからです。
そこでセカンドハウスの購入に利用できるローンとしては、自宅のローンを返済しながらでも利用することができるセカンドハウスローンがあります。
セカンドハウスローンはセカンドハウスや別荘の購入に利用できるローンをいい、セカンドハウスを購入しようとするエリアの地方銀行をはじめ、大手銀行やネット銀行など、金融機関での取り扱いは増加傾向です。
また、セカンドハウスローンを利用できるかどうかは返済能力で判断され、年収に占めるローン返済の割合はおよそ3割といわれます。
ただし、借り入れ限度額は自宅にローンが残っていると合算されるので、融資が不足するのであれば自己資金を準備し、合わせて利用しなければなりません。
ローンを組む場合の注意点
セカンドハウスローンを利用する場合には一般的な住宅ローンとは異なる点に注意を払わなければなりません。
通常の住宅ローンと比較して審査が厳しい
日常生活に必要な住居とはいえ、セカンドハウスは本来の自宅ほど必要性が高いとはいえません。さらに住居を複数持つということはそれだけの経済的な負担も大きくなります。
金融機関がセカンドハウスローンのリスクが高いと捉えるのはこうしたことが要因で、どうしても融資の審査は厳しくなりがちです。
このため、同じ金融機関であっても通常の住宅ローンにはない年収要件が付加されるケースもあります。
また投資用物件の購入といった、セカンドハウスローンの本来の目的とは異なる利用を防ぐ観点からも、セカンドハウスローンの審査が厳しいことは否めません。
通常の住宅ローンと比較して金利が高い
融資を受ける金融機関にもよりますが、セカンドハウスローンは通常の住宅ローンと比較して金利が高い傾向にあります。場合によっては通常の住宅ローンよりも数%程度金利が高いことも少なくありません。
このようにセカンドハウスローンの金利が高い背景には、セカンドハウスが富裕層によって購入される、いわゆるぜいたく品とみなされているからです。
ただし、セカンドハウスローンは住宅金融支援機構が提供する「フラット35」なら一般の住宅ローンと変わらない金利条件で融資を受けることができます。
住宅ローン控除が適用されない
一般的な住宅を購入した場合には、セカンドハウスの購入でも適用される税制面の優遇措置とあわせて税金が控除される制度が設けられています。
いわゆる住宅ローン控除で、所得税や住民税が居住開始から10年、2019年10月1日以降、2020年12月31日までに入居した場合には13年にわたって軽減されます。
ただし、住宅ローン控除の要件は「自己の居住の用に供した」ローンでなければならないため、セカンドハウスローンに関しては残念ながら適用対象外です。
セカンドハウスを持つということ
ここまでセカンドハウスについてさまざまな角度からみてきました。セカンドハウスの購入は注意点もあり、住居に対しての考え方は人それぞれです。
自宅を購入し、そこに住み続けるのがひとつの方法なら、長い人生の中で、家族構成やライフスタイルが変化にあわせ自宅の買い替えや住み替えも選択肢といえます。
このため、セカンドハウスとなる住居の買い増しについても、メリットを考慮すれば、その後の生活の幅を広げる有効な手段になりえるといっていいでしょう。