近頃、養蜂を趣味にしている方が増えているのを知っているでしょうか?テレビで養蜂を紹介されてから、注目されるようになっています。
しかし「養蜂なんて危なくないの?」「家で蜂を育てることができるの?」と疑問を持つ方もいるでしょう。
そこで、この記事では、養蜂を始める方法を解説しています。養蜂を始めるにあたって、準備しておきたいことやお世話の方法・注意点も紹介します。
養蜂に慣れてくるとミツバチに愛着がわいて、お世話が楽しくなります。天然のミツバチのみつは貴重です。自分でお世話したミツバチのはちみつは、何よりもおいしいでしょう。
ぜひ、最後まで読んで参考にしてください。
養蜂の魅力
養蜂の魅力は、何といっても「はちみつが採れる」ことです。国産のミツバチの生産は少なく、自分で飼育することで、貴重なミツバチのみつを食べられます。
普段から目にするミツバチは、セイヨウミツバチと呼ばれるもので、二ホンミツバチより群れの数が多く蜜が集まりやすいため、はちみつが多く採れます。
二ホンミツバチは、セイヨウミツバチよりおとなしい性格です。刺激しなければ人を刺すことは少なく、飼育しやすいところがメリットです。
二ホンミツバチは、病気にかかりにくく耐寒性があるため、週末だけしかお世話できない方でも趣味にしやすいでしょう。
二ホンミツバチの特徴
二ホンミツバチの特徴は、野山にいる野生のミツバチのことで、セイヨウミツバチより体が少し小さいところが特徴です。
先にも説明したとおり、二ホンミツバチはおとなしい性格をしています。しかし、寒い冬は攻撃性が高まるため、はちみつの採取やお世話の際には刺されないように注意が必要です。
二ホンミツバチは病気にかかりにくく、天敵のオオスズメバチから自分を守る力も持っています。ですから、どのような環境でも巣を作ることが可能です。
ただし、二ホンミツバチは蜂の群れの状態の悪化や、気候などの環境の変化ですぐに逃げてしまいます。ですから、はちみつが採れない年もあることを理解しておきましょう。
採取時期
二ホンミツバチの採取時期は、1年に1回~2回しかありません。春に二ホンミツバチが巣箱に入った場合秋頃に、はちみつが採れるでしょう。
二ホンミツバチのはちみつは、気候や集まった花粉の量、捕獲したミツバチの季節によって採れる量が異なります。
花粉がなかなか集まらないときは、はちみつが採れない年もあります。二ホンミツバチは、セイヨウミツバチより群れの数が少なく、はちみつが採れる時期も年に1・2回しかありません。
みつの特徴
二ホンミツバチは、さまざまな花から蜜を集めます。はちみつ糖度は高めで、セイヨウミツバチのはちみつと比較して、さらっとした舌ざわりです。
二ホンミツバチのはちみつは、花粉が多いためコクと深みのある味わいです。この二ホンミツバチのはちみつのおいしさに、他のはちみつが食べられないくらい虜になる方が多くいます。
養蜂時期はいつ頃?
二ホンミツバチは、春先になると産卵と育児の時期に入るため、活動が活発になります。また、自然の中にも多くの花が咲き始めます。
二ホンミツバチの捕獲は、春先の3月~4月頃が最適です。新潟などの寒い地域は5月~6月頃になるでしょう。また、二ホンミツバチは、北海道と沖縄以外は生息していません。
二ホンミツバチはどこで飼えばいい?
「二ホンミツバチが養蜂しやすい蜂だとわかったけど、どこで飼えばいいの?」「広い庭が必要なの?」などと、考えるかもしれません。
二ホンミツバチは、どのような場所でも巣を作ります。ですから、家の庭先や家庭菜園の端などに設置することも可能です。
ただし、住居と住居が近い住宅地での飼育は避けた方が良いでしょう。また、盗難に遭わないようにすることも大切です。
養蜂に必要な準備物
いざ、養蜂を始めるにあたって必要な準備物は以下の4点です。
- 巣箱
- 蜜蝋(みつろう)
- キンリョウヘン(シンビジウム)
- 防護服
二ホンミツバチは環境が合わなければ、すぐに消滅してしまいます。ですから、二ホンミツバチにとって快適に過ごせる巣箱を準備してください。
巣箱
日本ミツバチを飼育するには「重箱式巣箱」を準備するようにしましょう。野生の二ホンミツバチを巣箱に誘い込み、飼育します。巣箱の下部は二ホンミツバチが出入りがいしやすい大きさにします。
二ホンミツバチが弱っているときは、ダニやオオスズメバチの攻撃を受けてしまいます。オオスズメバチにかじられないように、厚めの板を使用しましょう。
また、二ホンミツバチは暑さにも弱いため、通気性の良い巣箱にしてください。二ホンミツバチの様子がいつでも観察できるように、内部の点検がしやすいものを選ぶようにしてください。
蜜蝋(みつろう)
みつろうは、二ホンミツバチは一度巣ができた場所を選びます。みつろうは、ミツバチに安心して住んでもらうために使用します。
巣箱を設置する前には、巣箱の内側上部に塗り付けましょう。
キンリョウヘン(シンビジウム)
キンリョウヘン(シンビジウム)は、二ホンミツバチの好きな香りです。ミツバチを巣箱に誘いやすいため、巣箱の近くに植木鉢を置くと良いでしょう。
防護服
二ホンミツバチを養蜂するときは、防護服があると便利です。防護服とゴム手袋を着用するだけでミツバチが服の中に入るのを防げます。
防護服を準備できないときは、厚い生地のウインドブレーカーの上下・ゴム手袋・長靴・顔にネットが付いている帽子などで代用することも可能です。
衣類に隙間があると蜂が入り込む危険性がありますので、袖口はアームカバーをするなどして、隙間のないように対策してください。
養蜂箱の作り方
二ホンミツバチの巣箱は、木材を使って自分で作ることも可能です。巣箱は、重箱・巣門枠・底板・天井板・すのこ板に分かれています。
重箱の1つ1つのサイズの目安は、外側約290×約290×約150mm、内側約220×約220×約150mm、厚さは約35mm程度が良いでしょう。
巣門枠も重箱のサイズと同じにします。巣箱の内側には、巣が落ちないように針金を取り付けておきましょう。また、天井になる部分には金網を取り付けします。
屋根の上にはトタン板とトタン板を押さえる石が必要です。また、巣箱の下にブロックを置くと良いでしょう。
巣箱は、インターネットで販売されているため、自作が難しいと感じる方はキットの購入も検討してみてください。
キットを購入する方法もある
巣箱をDIYをすることや養蜂を初めて挑戦する方は、巣箱の購入がオススメです。インターネットでは、巣箱のほかに「蜜蝋」や「シンビジウムの香りがするルアー」などが販売されています。
巣箱の費用は5,000円~10,000円となり、蜜蝋やシンビジウムを揃えるとそれ以上の費用が掛かります。
巣箱
重箱式巣箱3段式です。みつろう・シンビジウムの香りは付属していません。
商品名 | 日本蜜蜂 巣箱 重箱式巣箱3段 |
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サイズ | 内寸: 約244mm×約244mm×約124mm 板厚約24mm外寸:約292mm×約292mm×約124mm 板厚約24mm天板カラーコンパネ: 約292mm×約292mm 厚さ約12mm底板: 約300mm×約370mm×約64mm 厚さ約24mm巣門切り込み 高さ約7mm 幅120mm 巣門箱に巣落ち棒・扉なし |
重さ | 約6㎏ |
ツールキット
はちみつを採蜜するときに使用します。自宅にあるものやホームセンターなどで代用できるものもあります。こちらもセットで販売されていますので、一つ一つ購入が難しい方にオススメです。
商品名 | 養蜂ツールキット 7点セット |
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セット内容 | 養蜂用ブラシ 蜜蓋かき器 ハイブフレームホルダー ハイブツール マーキングカップ 歯車埋線器 クイーンキャッチャー |
材質 | プラスチック ステンレス 木材 |
二ホンミツバチの飼育方法
日本ミツバチの飼育方法は、季節によって違います。暑さなど気温に気を付けたり、花粉が不足していないかチェックが必要です。
花粉が十分あるか、二ホンミツバチが元気か様子をみて必要であればして砂糖水をやってください。
春
二ホンミツバチは、3月になると産卵を始めます。春先は意外と花粉やはちみつが不足しやすい時期です。ですから、様子をみて砂糖水をやることが大切です。
砂糖水は、濃度が50%~70%がベストです。400リットルの水に1キロの砂糖を溶かし、藁や発泡スチロールなどの容器に浮かべてください。砂糖水の減り具合をみながら数日与えてみましょう。
また、春先は、フンの量が増えるため掃除や消毒が必要です。春はミツバチの数が増える時期です。巣が大きくなっていれば巣箱を大きくすることが大切です。
夏
夏になると花粉の量が増えますが、他の虫も花粉を吸うため蜜が集めにくいシーズンです。厚くなりやすいため風通しが良い日陰に巣箱を設置しましょう。
蛾の幼虫やゴキブリなどが巣箱に入っていないか、こまめな点検が必要です。花粉が少なくミツバチの元気がないときは砂糖水をやりましょう。
周囲で田畑があると農薬散布されることもあります。薬品がかからないように注意が必要です。
秋
8月中旬から11月末まではオオスズメバチが発生しやすくなります。夏の暑さで弱ったミツバチは、オオスズメバチに負けてしまうことがあります。
巣箱の下部の入口からオオスズメバチが侵入しやすくなります。オオスズメバチは巣箱をかじることのあるため、傷んでいないか点検しておきましょう。
秋になると、はちみつが採れるようになります。
冬
はちみつの集まりが悪いときは、冬にも砂糖水が必要です。冬は砂糖水が固まりやすいため、50%程度の濃度が良いでしょう。巣箱の温度が下がらないように、毛布で巣箱を覆い風から巣箱を守ってください。
はちみつの採取の仕方
採取の際には、自宅にあるもので代用可能です。
- 包丁
- ろうと
- ガーゼ
- 使い捨て手袋
輪ゴムやはちみつを入れる瓶があると便利です。
巣枠に付いたはちみつが溜まっているところだけ使用します。白っぽいものが付いているところが使用しません。針金に沿って巣を切り取ります。
はちみつを採取する方法は、巣箱から巣板を取り出し布に巻き付け、つぶしてろ過します。ろうとが大きいサイズを選ぶと、ろ過する時間が短縮できます。
「早くろ過してほしい」と待ち遠しいかもしれませんが無理に絞ると不純物が混ざりやすいため、自然に待つことが大切です。気温が低いと、ろ過に時間がかかります。なるべく暖かい部屋で作業することがオススメです。
はちみつは、花粉の種類によって味が変化します。砂糖水を与えたあとは、数週間あけてから採取した方が良い味のはちみつが採れるでしょう。
はちみつの保存方法
はちみつは常温でも傷みにくい食品です。温度変化が一定の方が味は損なわないでしょう。ミツバチの巣は30℃~35℃に安定しているため、気温の激しい変化が苦手だと言えます。
夏場でも直射日光が当たらなければ冷蔵庫に入れる必要はありません。夏場は発酵して瓶の中で泡立ってしまうかもしれませんが、問題なく食べられます。
冷蔵庫に入れると結晶ができやすくなるため、注意が必要です。どうしても冷蔵庫で保存したいと考える方は、温度が安定している野菜室がオススメです。
冬場など、万が一はちみつが固まってしまったときは、湯せん(60℃前後)でゆっくり溶かすようにしましょう。湯せんをするときは温めすぎに注意が必要です。暖かい部屋やお風呂場で時間をかけて溶かすこともオススメです。
趣味で養蜂する方ヘの注意点
養蜂をする際は住宅密集地での飼育は控えましょう。ミツバチは巣箱の外でフンをするため、周囲を汚すかもしれません。ミツバチは、ダニやふそ病の被害に遭いやすいため、適切な管理が必要です。
また、ミツバチは冬場は攻撃的になりやすい季節です。人を刺す恐れがあります。強いアレルギーがある方は、アナフィラキシーショックが起きやすいため注意してください。
ミツバチを餌としているスズメバチが飛ぶ季節は、とくに危険です。スズメバチはミツバチより攻撃的な性格なため、周囲の住民が刺されないようにしましょう。
また、ミツバチは、毎日観察することで人に慣れていきます。蜂がどのような状態でも厚手の長袖と長ズボン・ゴム手などをして刺されないように防御することが大切です。
ミツバチを養蜂するときは、セイヨウミツバチ、二ホンミツバチに関わらず、届け出が必要です。毎月1月末までに飼育届をお住いの都道府県に届け出をしてください。
しかし、飼育が受理されても周囲のミツバチ飼育者との調整が必要なため飼育できない場合があることを考慮しておきましょう。(参考:農林水産省「養蜂について」)
まとめ
この記事では、二ホンミツバチの養蜂の始め方を紹介しました。二ホンミツバチはおとなしい性格なうえにセイヨウミツバチより病気にかかりにくく強いことが特徴です。
二ホンミツバチは、春先に野生のミツバチが自分の巣箱に入ってきたものをお世話します。二ホンミツバチを飼育する際は、暑くなり過ぎないように注意し、ミツバチが元気がないときは都度する砂糖水を与えるようにしてください。
自分でお世話したミツバチから採れるはちみつは最高においしく、もう二度と市販のはちみつが食べられなくなるかもしれません。
養蜂を新しい趣味のひとつとして、ぜひ取り入れてみてください。