田舎暮らしの新しい趣味として野菜染めはいかかでしょうか?「野菜染めってどうやって作るの?」「難しくない?」そう考えている方もいるかもしれません。
野菜染めに使用する材料は、よく使う野菜の皮です。野菜の皮は本来捨ててしまう方も多いため、廃材利用にもなります。
この記事では、野菜染めに必要な材料や作り方、野菜染めをする際の注意点について解説しています。必要な材料は、スーパーで手に入るものばかりです。
この記事を参考にして、野菜染めにチャレンジしてみてください。野菜染めの魅力が見つかれば、新しい趣味として長く楽しめるでしょう。ぜひ、最後までご覧ください。
野菜染めの魅力
野菜染めの魅力は、同じ材料を使用してもまったく同じものが作れないこと。単色で染めても良いし、自分の好みの柄を入れることも可能です。
葉っぱや枝を使用する「草木染め」なら知っているという方もいるのではないでしょうか。しかし、今回紹介する野菜染めは、野菜の皮を使うため簡単に手に入りやすく挑戦しやすい材料です。
染めたものは洗濯時や日光に当たることで色落ちします。しかし、色あせてしまっても何度でも染め直せるところも魅力です。
火を使ったり、ときには薬品を使うことがあるため、やけどや手荒れに注意が必要です。しかし、簡単な工程が多いため、自宅で子どもと一緒に楽しむこともできます。
どんな色に染まるのか
使う野菜によって染まる色が違います。使用する皮の量や浸す時間によって色の深さも変化します。どのような色に仕上がるかは、完成するまでの楽しみです。
下記は、野菜染めのできあがりの色を一部紹介しています。
- 玉ねぎ:黄色・やまぶき色
- ナス:青・水色・紫
- よもぎ:緑
- アボカド:ピンク
- 赤しそ:ピンク(媒染液はクエン酸を使用)
- にんじんの葉:薄い黄緑色
このように、野菜を変えるだけでさまざまな色に染色させることが可能です。にんじんで野菜染めをしたい方は、にんじんの葉が必要です。
「にんじんのオレンジ色に染めてみたい」と考えるかもしれませんが、にんじんの皮はあまり染色できないため野菜染めには向いていない食材です。
野菜染めに使える食材は何?
野菜染めに初めて挑戦する方は、手に入りやすく色が出やすい玉ねぎの皮がオススメです。他にも、なす・アボカド・にんじんの葉がよく使われています。
野菜染めには野菜そのものの色からは、想像できない色に変化するものもあります。しかし、多くの食材で野菜染めを楽しむことが可能です。
野菜の代わりにブドウやブルーベリーなどの果物の皮を使用したり、ハーブや紅茶、コーヒーなどで染める方法もあります。
ハンドメイドが得意な方は、材料から自作してオリジナル作品のバリエーションを増やせるかもしれません。
準備しておきたい材料
野菜の皮以外にも、以下の工程で必要な材料があります。
- 染める素材
- 下準備に使うもの
- 媒染液(染めたあとに使う液)に使うもの
- 野菜染めに使う道具
次から、それぞれの工程で必要な素材や準備物について一つ一つ解説します。各工程の注意点もあるため、準備する前に押さえておいてください。
染める素材
染める素材は以下の5点がオススメです。
- 木綿
- 絹
- フェルト
- 毛糸(羊毛)
- 糸
野菜を染める素材は木綿や麻、絹・フェルトなどが適しています。自宅にあるガーゼハンカチなどを利用するといいでしょう。
また、布地以外では毛糸や糸なども使用します。編み物などのハンドメイドする方は、いつもと違う色合いを楽しめるかもしれません。
布や毛糸は、ポリエステル素材のものは色が染まりにくいため避けた方が良いでしょう。
下準備に使うもの
野菜染めを始める前に、まずは下準備です。下準備には無調整豆乳を使います。木綿や絹などの植物性繊維を使用する場合、たんぱく質を加えると染まりやすくなるからです。
ですから、ウールのような動物性繊維を使用する場合は、豆乳に浸す下処理は必要ありません。
本来は、大豆を煮たものを砕いてこした呉汁を使います。初心者には難しいため手軽に下準備ができる、無調整豆乳の使用がオススメです。
媒染液(染めたあとに使う液)に使うもの
媒染液は、スーパーで簡単に手に入りやすいミョウバン・重曹・クエン酸を使用します。自宅で野菜染めをするなら、準備や片付けが楽な方が嬉しいですよね。
媒染液は、主に鉄・銅・アルミニウムなどの金属素材が適しており、ときにはチタンや錫(すず)なども使います。
同じ野菜の皮を使用したとしても、媒染液によって完成後の風合いは変化します。たとえば、玉ねぎの皮なら鉄を使用するとこげ茶に、ミョウバンを使用するとからし色に着色します。
媒染液は、野菜染めの色を定着させるために重要な工程です。ここは、玉ねぎの皮の色がきれいに出るミョウバンで解説していきます。
野菜染めに使う道具
野菜染めをするときは、以下の材料の準備が必要です。
- 鍋(染液を作るため)
- 菜箸
- ざるやふきん
- ボウルまたは、バケツやたらい
- 計量スプーン
- 計量カップ
- はかり
- ゴム手袋
鍋を使用するときは、ステンレスかホーローを使用してください。金属製の鍋は、化学反応をおこすためオススメできません。
ボールやバケツ、たらいは下準備をするときや染めるときに必要です。媒染用の容器に使用する場合は、食品に使用しない容器を使用する方が無難です。
また、素手でも野菜染めはできますが、手荒れが気になる方はゴム手袋の使用をオススメです。
野菜染めに模様を入れたい方は、割りばしや輪ゴムを用意しておいてください。作り方についてはのちに解説しています。
野菜染めの作り方
野菜染めは以下の手順で作ります。
- 布の下処理
- 乾燥させる
- 染液を作る
- 媒染液に浸す
- 水洗いをする
- 脱水と乾燥をする
それぞれ、順番に解説していきます。
野菜染めは、染液に浸しているときや乾燥させているときなど待ち時間があります。待ち時間の間に次の工程の準備をしておくことがポイントです。
布の下処理
まずは布の下処理から始めます。新しい布はノリが付いているため、一度中性洗剤で洗っておきましょう。また、自宅で長く保存していた場合は汚れが付着しているかもしれません。
この下処理の工程も、野菜染めの染め上がりに影響が出るため、必ず処理してください。
次に、豆乳の中にお湯(42℃くらい)に豆乳を入れ(1:1)20~30分浸します。終わったら、豆乳の効果が半減しないように、すすがずそのまま乾かします。
乾かす(模様入れ)
生地が乾燥したら、模様を入れたい方はここでゴムや割りばしを使用して模様を作ります。詳しい模様の作り方は、のちに紹介します。
豆乳を使って生地にイラストを描けば、オリジナル作品ができますよ。その場合は、水で生地を洗ったあと、豆乳に浸さずに乾燥させてから文字や絵を入れるようにしてください。
染液を作る
下準備をしている間に染液を作っておきます。この記事では、初心者でも作りやすい玉ねぎ染めで解説します。
玉ねぎの皮の量は、染めたい生地の量によって変わります。目安としては、記事120gに対して玉ねぎの皮5~6個が良いでしょう。
鍋に玉ねぎの皮が8リットル程度の水を入れ、沸騰させずに30分ほど火にかけます。煮立たせ過ぎると液が濁ってしまい、きれいな色が出ないため注意が必要です。
また、染液に野菜の皮やクズが残っているときれいな色が出にくくなるため、ザルかふきんでこしてください(やけどに注意)。ザルやふきんでこすことが難しいときは、お茶パックや洗濯ネットに煮出しをすると便利です。
生地を染液に浸すときは、染液には20分以上浸すと良いでしょう。色ムラが出ないようにときどき生地を広げるように動かすことがポイントです。
20分以上経過したら、染液から取り出し、軽く水洗いしてください。
媒染液を作る
生地を染液に浸している間に媒染液を作ります。今回は、ミョウバンを使用します。1リットルのお湯にミョウバン2gを溶かして、ミョウバン液を作っておきましょう。
媒染液に浸す
前述したように、媒染液は、生地に色が入りやすくする働きや色落ち防止に役立ちます。ミョウバン液に染液から取り出した布を入れます。
浸す時間は5分~30分くらいが適当です。媒染液に浸すときも、色ムラにならないようにときどき動かしてください。媒染液に浸すときも金属製の容器に入れると変色してしまうため注意が必要です。
水洗いをする
媒染液から取り出した生地を水洗いします。水洗い以外にも、40℃前後のお湯を鍋に入れて10分程付け置きする方法もあります。
色の濃さが足りないと感じるときは、染色液と媒染液に浸す作業を数回繰り返すと良いですよ。
脱水と乾燥
水洗いした生地は、固く絞り脱水します。シワにならないように広げて、布が乾燥するまで待ちましょう。生地が乾燥すれば完成です。
染模様の作り方
ここで、染模様の作り方を紹介します。前述したように、染模様を作るタイミングは生地を洗って下準備ができた段階で行います。
生地をいったん乾かしてから染模様を作りましょう。染模様は、自分の模様を付けたい場所をつまんで輪ゴムでしばったり割りばしで固定するだけで簡単に作れます。
ゴムで作れる模様
生地をつまむ部分の大きさで、できる円の大きさに変化を付けることも可能です。外側と内側に一つずつゴムでしばれば二重の円を作ってさまざまな柄を楽しめます。
スーパーボールやビー玉を包んでしばる方法もあります。輪ゴムだけでしばるより、また違った味わいになるでしょう。
割りばしで作れる模様
割りばしを割らずに間に挟み、輪ゴムで両端を固定すれば直線模様が作れます。生地の畳み方や割りばしを挟む場所を変えてみるなど、円と直線を組み合わせをいろいろ試してみるとおもしろい柄ができるかもしれません。
四角い板で生地を挟んで柄を作る方法もありますが、割りばしやゴムを使う方法より少し難しくなります。しかし、野菜染めに慣れてきた方は、色とりどりのパターンのデザイン作りに挑戦してみるのも楽しいですね。
まとめ:家にあるもので野菜染めを楽しもう
この記事では、野菜染めに必要な材料や作り方、野菜染めをする際の注意点について解説しました。野菜染めに使う材料は、スーパーで手に入るものが多いため、さっそく試してみたいと感じたのではないでしょうか。
野菜染めは、染色や乾燥させるために時間がかかるため、家事や家族と過ごす時間の合間でも色の変化を楽しみながら作業を進められます。
熱湯を扱う工程以外では、子どもと一緒に作ることも可能です。野菜染めの色合いは優しく、自分で作ったものなら、さらに愛着が感じられます。
この記事を参考にして、野菜染めをしてみてはいかがでしょうか。家庭菜園をしている方は、新しい趣味の一つとしてぜひ、取り入れてみてください。