「都会の喧騒から離れ、自然を楽しみたい!」
そんな方々を中心に、アウトドアブームが広がっています。
中でも、澄んだ空気を味わい、適度な運動をすることで心身ともにリフレッシュできる登山は、非常におすすめです。
ご夫婦やカップル、ご友人同士で出向くのもよし、おひとりで出向くもよしと、それぞれの楽しみ方ができる点も、登山の魅力ですね。
この記事では長野県の天狗岳についてご紹介します。都心からのアクセスがいい天狗岳の概要、登山方法や各コースの詳細、アクセス方法を知って、自然を満喫しましょう!
天狗岳はどんな山?
天狗岳は、長野県茅野市と同南佐久郡小海町の境に位置しています。周辺地図は以下の通り。
東西の二峰からなっているのが特徴で、西側が「西天狗岳」、東側が「東天狗岳」です。
どちらも、標高は2,640m程度であり、ほぼ同じ高さの峰が連なっています。
山域:八ヶ岳連峰
都道府県:長野県
標高:2,646m
東天狗岳には「天狗岩」と呼ばれる岩塔があり、これが天狗の鼻のように見えることから、「天狗岳」という名称となったと言われています。
この岩塔も、訪れた際にはぜひ見ておきたいところです。
東天狗岳は男性的にそびえ立っているのに対して、西天狗岳はずんぐりとした形をしています。
2つの峰の山頂は300mほどの間隔で、東天狗岳の山頂から西天狗岳の山頂までは20分程度で行くことができますので、それぞれの峰から違った景色を楽しむのも良いですね。
中でも、東天狗岳からは、硫黄岳の火口壁のほか、北アルプスなど北八ヶ岳の山々と広大な森に囲まれた壮大な風景を見ることができ、心が洗われることでしょう。
また、北側の黒百合平との間には「天狗ノ奥庭」と呼ばれる場所があり、ここには、摺鉢池をはじめ点在するいくつかの小池が見られるほか、ハイマツやコケモモ、ミネズオウなどが咲き誇ります。
更に、周囲には根石岳、箕冠山、稲子岳がありますが、このうち東天狗岳と根石岳の鞍部は、白い砂に映える緑のハイマツが茂り、ここも見どころの1つです。
非常に見どころの多い山ですので、1つの山で様々な景色を楽しむことができます。
天狗岳のアクセスルートは?
天狗岳への行き方を下記2つの方法をご紹介します。
-
- 電車やバスなどの公共交通機関で行く方法
- 車で行く方法
公共交通機関と車、それぞれの行き方をご紹介します。
なお、この記事では新宿からのアクセスのみご紹介していますので、名古屋・関西方面からのアクセスを知りたい方は以下記事をご覧ください。
公共交通機関で行く場合
公共交通機関で天狗岳へ行くには、電車とバスを乗り継ぎます。
天狗岳へ行くバスのある駅は、JR「茅野駅」とJR「小海駅」の2つです。
登山道の西側からは登る場合はJR「茅野駅」、東側から登る場合はJR「小海駅」へ向かいます。
JR茅野駅からのルート
JR茅野駅から向かう場合には、茅野駅西口バス停の1番線より奥蓼科渋の湯線バスに乗車します。
そのバスの終点である「渋の湯」にて下車することで、天狗岳へ行くことができます。
例年、4月末ごろから11月初旬ごろの土日祝日と特定日のみの運行です。出向く前に、茅野市のHPなどで運行状況や運行時刻を確認されることをおすすめします。
バスの所要時間は、おおむね1時間程度です。
新宿からであれば電車+バスで約3時間半で着きます。
新宿駅 → 茅野駅 → 渋の湯駅
【新宿駅→茅野駅】JR中央特急あずさ 片道¥5,650 2時間強
【茅野駅→渋の湯駅】アルピコ交通「奥蓼科渋の湯線」片道¥1,200 1時間弱
※渋の湯駅までの時刻表などはアルピコ交通HPで確認してみてください。
JR小海駅からのルート
JR小海駅から向かう場合には、小海駅より小海町営路線バス「松原湖線」に乗車します。そのバスの「稲子登山道入口」か「稲子湯」にて下車することで、天狗岳へ行くことができます。
こちらは、4月下旬から夏季ダイヤ期間中は毎日運行しています。
ただし、平日か休日かで運行時刻が異なる場合があるほか、「稲子登山道入口」か「稲子湯」のどちらかしか停まらない時刻もありますので、出向く前に、小海町HPで確認されると安心ですね。
バスの所要時間は、「稲子登山道入口」までは20分程度、「稲子湯」までは35分程度です。
新宿からであれば電車+バスで約3時間半で着きます。
新宿駅 → 小海駅 → 稲子登山道入口駅or稲子湯駅
【新宿駅→小海駅】JR中央特急あずさ&JR小海線乗り継ぎ 片道¥4,070(3時間強)
【小海駅→稲子湯駅】小海町営路線バス「松原湖線」 片道¥800(20分弱)
新宿駅→小海駅区間の経路は多数あります。ご自身のプランに合う手段で登山を楽しみましょう。
※稲子登山道入口または稲子湯までの時刻表なども小海町HPで確認してみてください。
車で行く場合
天狗岳へ車で行く場合には、天狗岳登山口駐車場へ停めて出向くと便利です。
ナビへは、近くの唐沢鉱泉の住所「長野県茅野市豊平4733-1」を入れて行くと良いでしょう。
駐車場とはいっても、道路わきに停める形式で、駐車料金は無料です。駐車可能台数は30台ほど。
最寄りのインターチェンジは、中央道の諏訪インターチェンジです。
そこから国道20号線を走り、白樺湖・蓼科方面へ右折、国道152号線との立体交差を側道から左折し、7.1kmほど先の山寺上の交差点を県道17号線の富士見方面へ右折します。
その後、南大塩の交差点で尖石遺跡方面へ左折し、道なりに進むと三井の森の別荘地を過ぎると未舗装の道路となりますのが、すぐに夏沢鉱泉との分岐があるので、そのまま直進します。
3.4kmほど進むと、天狗岳登山口駐車場へ到着です。
新宿からであれば2時間43分(191 km)で到着します。
初心者におすすめな天狗岳のルートの概要
天狗岳は八ヶ岳の入門ルートとも言われており、初心者でも比較的手軽に山を楽しむことができます。
「登山をこれまでしたことがない」という方も、天狗岳から登山デビューするのがおすすめです!
ここでは、登山初心者さんにおすすめの天狗岳ルートを紹介します。
1日目=渋の湯スタート(約1時間)→八方台分岐(約35分)→唐沢鉱泉分岐(約1時間)→黒百合ヒュッテ 合計所要時間:約2時間30分
2日目=黒百合ヒュッテ(約5分)→中山峠(約1時間20分)→東天狗岳(約20)→西天狗岳(約30分)→第二展望台(約15分)→第一展望台(約30分)→枯尾ノ峰分岐(40分)→唐沢鉱泉 合計所要時間:約3時間40分
なお、それぞれの所要時間は目安です。体力にあまり自信のない方や登山に慣れていない方は、余裕を持ってスケジュールやルートを組むようにしましょう。
また、天狗岳から唐沢鉱泉へ下る道は人も多くないうえ悪路となる区域もあります。心配な場合には、唐沢鉱泉方面への下山ではなく、来た道を戻るルートを選択してください。
天狗岳の登山は、例年7月中旬から10月中旬が適しています。例えばゴールデンウィークあたりは都心では暖かい日が続いたとしても、山ではまだまだ肌寒く、残雪がある可能性が高いため、初心者にはおすすめできません。
また、7月から10月の間であっても、残雪の状況や天候などをよく確認してから登山をするようにしましょう。
天狗岳の登山ルートの詳細
さて、ここからは天狗岳の登山ルートの詳細についてご紹介します。地図にすると次のようなイメージです。
これらも参考にして、登山ルートを組んでみてくださいね。
渋の湯で入山
まずは、渋の湯から登山のスタートです!
ここで、登山届に必要事項を記入しましょう。
日数に余裕のある場合には、前泊して「渋御殿湯」渋の湯温泉を満喫し、翌日から登山をするのも良いですね。渋川を渡ったら、「黒百合平」方面へと歩きます。
八方台分岐
歩き始めて1時間程度で、八方台分岐に差し掛かります。
ここから先は岩がゴロゴロとした道もあるので、ここでいったん休憩をすると良いでしょう。
深呼吸をすると、森の空気を感じられます。
この分岐で「黒百合平」と「唐沢鉱泉」へと道が分かれますので、黒百合平方面へ向かいます。指示標があるので、安心ですね。
黒百合ヒュッテ
唐沢鉱泉の分岐を経て、歩き続けると、黒百合ヒュッテへ到着します。八方台分岐から黒百合ヒュッテまでは、1時間30分程度で到着です。
黒百合ヒュッテ周辺では、6月頃、黒百合平に黒百合が一斉に咲き揃うことからこの名がついています。
宿泊は、テント泊のほかヒュッテでの宿泊も可能ですので、登山に慣れていない場合には、予約をしておくと安心ですね。
また、安全面などから、ヒュッテへは午後4時までには到着するようにしましょう。
ヒュッテの宿泊料金は、一泊2食付きで8,800円から、素泊まりで5,500円からとなっています。詳細は、黒百合ヒュッテのHPもご参照ください。
カフェやスイーツなどの軽食が充実していることや、トイレが清潔なことなどから、女性にも人気の山小屋です。
東天狗岳方面へ
さて、2日目は東天狗岳方面へと向かいます。
歩き始めて5分ほどで中山峠の分岐にさしかかりますので、案内標に従い、東天狗岳方面へ向かいましょう。
途中、ガレ場などがあるほか、斜面が急な箇所もありますが、ここは踏ん張りどころです。
黒百合ヒュッテから山頂までは、約1時間30分で到着します。
山頂で楽しむコーヒーなどを持参するのも良いですね。
天狗岳の山頂
いよいよ山頂に到着です!
山頂からは、天気が良ければ蓼科山や赤岳、硫黄岳などの山々を見渡すことができます。
写真で見ても十分綺麗な風景ではあるのですが、やはり自分の足で登り、自分の目で見る景色は格別ですね。
なお、東天狗岳山頂から西天狗岳山頂までは、20分程度です。
東天狗岳の山頂は狭く、また登山客で混み合うことも多いため、山頂が比較的広い西天狗岳まで登ってからゆっくりと休憩をするのが良いでしょう。
山頂までたどり着いたら、あとは下山するのみです。
下山先の唐沢鉱泉では日帰り入浴も可能なので、ここで疲れた体を休めてから帰宅の途へつくのも良いですね。
天狗岳登山の服装
天狗岳は初心者でも比較的登りやすいとはいえ、標高は2,500mを超える山です。
山をあなどって軽装で出向くとケガや事故の原因となりかねませんので、山に適した服装で出かけるようにしましょう。
天狗岳登山におすすめの服装は、次のとおりです。
春の天狗岳登山の服装
春の天狗岳は、晴れれば暖かくなる一方で、天候が崩れると冬山へと一転します。
冬山の装備で出向き、かつアウターで調整できる服装としましょう。
ボトムス:薄手のアンダーウェア+裏地付きパンツまたは中厚手パンツ
その他 :保温のための帽子、手袋、ネックウォーマー
夏の天狗岳登山の服装
日中は暖かくなるため、汗をかいても乾きやすい服装がおすすめです。
ボトムス:薄手のパンツ
その他 :通気性のある帽子
秋の天狗岳登山の服装
さわやかな気候の日も多いのですが、寒暖差が大きいため、調整のしやすい服装が良いでしょう。
ボトムス:中厚手のパンツ
その他 :帽子、薄手の手袋
冬の天狗岳登山の服装
冬の登山は初心者の方にはおすすめできませんが、参考までにご紹介します。
ボトムス:中厚手から厚手のアンダーウェア+オーバーズボン
その他 :保温のための帽子、手袋、オーバーグローブ、ネックウォーマー、目出し帽
天狗岳登山の注意点
最後に、天狗山登山をする際の注意点についてまとめます。
持ち物や服装について
- 軽装で山へ入らず、しっかりとした登山装備で入山しましょう。
- 靴は、普通の運動靴ではなく足首まである登山靴と厚手の靴下をはきます。
- 晴れていても雨具や防寒具は持参しましょう。
- 帽子やヘッドランプ、食料や水などしっかりと準備をしてください。
- 都心などでは暖かい日でも、天狗岳では5月頃までは残雪があったり、11月以降は降雪となったりします。また、日中は暖かくても朝晩は冷え込む日も少なくありません。現地の天候を十分確認の上、冷え込みそうな日はダウンなどの防寒具も持参しましょう。
- 山へ入るときには、必ず地図やコンパスを携行しましょう。携帯電話の地図やコンパスは、電波が届かず使えない場合があります。
手続きについて
- 登山届は必ず出しましょう。
- 山岳保険にも入っておくと安心です。
ルートや登山計画について
- 山小屋には午後4時までには到着するようにしましょう。万が一遅れる場合は、山小屋までご連絡をしてください。
- 時間に余裕を持ったスケジュールを組むようにしましょう。無理なスケジュールは遭難の原因となります。小屋から上部は風が強い日も多く、小屋と天狗岳との往復でも思ったより時間がかかることがありますので、特に注意してください。
- 初めて天狗岳に登る方は、「黒百合平」「中山峠」を経由するルートを選ぶと安心です。
まとめ:しっかり準備をして天狗岳登山を楽しみましょう!
登山は自然との共存で楽しむものである以上、危険はつきものです。
軽装で出向いたりすることなく、事前にしっかりと調べ、計画を立てて出向きましょうね。
最後にポイントのおさらいをしましょう。
・初心者コースや1泊2日コースなど多数ある。
・八ヶ岳の美しい自然を堪能できる
きちんと準備と計画をしていけば、登山はとても楽しいものです。
ご紹介したとおり、天狗岳はとても見どころの多い山ですので、ぜひ一度、出向いてみてください。