アルファロメオの旧車がほしいと思っても、維持費や購入できるお店が気になる人も多いでしょう。
筆者もアルファロメオの代表的な車「ジュリエッタ」を持っていますが、とても楽しい車です!
この記事では、アルファロメオの旧車の歴史から車種、維持費、購入できるお店について解説していきます。
アルファロメオの歴史
まずは、アルファロメオの歴史を紹介していきます。
会社の歴史
アルファロメオは1910年にイタリアのミラノで誕生したイタリアを代表する自動車メーカーです。
誕生当時は「ALFA(Anonima Lombarda Fabbrica Automobili)」という名前で、誕生翌年にはレースに参加するほどの急成長を遂げました。
しかし、1915年にイタリアが第1次世界大戦に参加したことをきっかけに、一気に経営難に。
そんな中、1919年にエンジニア経験もある実業家「二コラ・ロメオ」が経営権を握ったことをきっかけに、現在のアルファロメオになりました。
日本でのシェアはドイツ車に比べると劣りますが、全く人気がないわけなく、欧州車好きの間では人気の「知る人ぞ知るメーカー」です。
クラシックカー(旧車)の定義
クラシックカーの定義は諸説ありますが、一般的には1946~1970年代の車のことを指すと言われています。
由来は英国を中心とするヨーロッパのエンスージアストが定めた基準で、
- ポストウォー・クラシック(1946−1959年)
- モダン・クラシック(1960−1970年代)
の2種類に細かく分類できます。
つまり「アルファロメオのクラシックカー」は1946年~1970年代の間に販売された車両と考ればよいでしょう。
アルファロメオのブランド哲学は「La meccanica delle emozioni-感情の力学」というもの。
創業当時、レースの世界で名を馳せていたこともあり、ライバルたちから畏怖と尊敬の「感情」を持たれていました。
そして、後ほど紹介する「高級車から大衆車への路線変更」になってもスタイルを変えず、見た目の美しさや、走りの気持ちよさといった「感情」を動かす車を開発し続けています。
運転する人々を魅了する車づくりこそ、アルファロメオが110周年を迎えることができた理由です。
また、エンブレムはアルファロメオの礎を築いたジュゼッペ・メロージ監修のもと、部下であるロマーノ・カッターネオが原案を手がけました。
デザインは「ミラノの赤十字」「ミラノ公を輩出したヴィスコンティ家の家紋である、人を飲み込む大蛇(ビショーネ)」「イタリア王国、サヴォイア家の家紋の結び目」の3つが組み合わさっています。
これまで8回エンブレムが変わっていますが、ベースとなる形は当時のままです。
高級車路線から、大量生産に変わった
アルファロメオは誕生当時、レースに出るような高級車がウリでした。
しかし、ある時から大量生産に切り替わります。
切り替わったきっかけは「第二次世界大戦」です。
世界恐慌や戦争による不況で経営不振に再び陥ったアルファロメオ。
不況で生き残るために、これまでの高級車路線から大衆車路線に切り替えました。
不況だと高級車を買うほどの財力を持っていない人が多い、という背景もあるでしょう。
経営戦略の変更が功を奏し、1950年にミドルサイズのセダン「1900」を販売後、売上を伸ばしていきます。
「レースで勝てるファミリーカー」というコンセプトは、人々の感情を揺さぶりました。
ジュリエッタ、ジュリアシリーズでの成功
1900で成功した後、今でも語り継がれる名車たちが誕生しました。
そう、「ジュリエッタ」と「ジュリア」シリーズです。
1900が市場で認められた後、アルファロメオは1953年には主要なイタリア警察本部の「空飛ぶ特捜班」に車を供給したことでさらに知名度を上げました。
そして、50年代後半にはジュリエッタを販売し、瞬く間に大ヒットしました。
余談ですが、人気の理由を探るべく、ジュリエッタの試乗に行った筆者。
そして、試乗した瞬間にとりこになってしまい、勢いで購入しました。
そんなジュリエッタを以下の記事で紹介していますので、是非あわせてご覧ください。
話が逸れましたが、「ジュリエッタ」1本では生き残っていけないと考えたアルファロメオは、1960年にアレーゼに新工場を作ります。
アレーゼの新工場で初めて生産された車こそ「ジュリア」で、合計100万台以上売れるなど、アルファロメオの全盛期と考えてよいでしょう。
再び暗黒時代も、156で復活
ところが、全盛期はそう長くは続きません。
1970年代は経営上の問題やオイルショックの影響を受け、一気に財政難に。
1980年代には、FIATに売却されるなど、暗黒時代に陥りました。
しかし、転機が訪れたのは1997年。
156が販売されると瞬く間に大ヒットし68万台を生産、翌年には「1998 ヨーロピアン カー オブ ザ イヤー」にも選出されました。
こうしてアルファロメオは、見事な復活を遂げたのです。
そして今もなお、人々の「感情」を動かす車を作り続けています。
アルファロメオの旧車・名車一覧
続いてアルファロメオの代表的な車種を簡単にご紹介します。
RL
・生産期間
1922~1927年
・特徴
直列6気筒2916cc・56psのエンジンが搭載。
最高時速は110km/hまで出た。
・新車・中古価格
新車:不明
中古:なし
ジュリエッタ
・生産期間
1954年~2020年(3代に渡る)
・特徴
クーペボディーのライトウェイト
・新車・中古価格(初代)
新車:不明
中古:550万円~
ジュリア
・生産期間
1962~1977年、2016年~
・特徴
小型軽量の車体に5速MTを採用。
搭乗者の安全性にも配慮した設計。
・新車・中古価格(1代目)
新車:不明
中古:328万円~
SZ(Sprint Zagatoスプリント・ザガート)/RZ(Roadster Zagatoロードスター・ザガード)
・生産期間
SZ:1989~1991年
RZ:1992~1993年
・特徴
SZ:V型6気筒エンジンを載せたクーペ
RZ:SZのオープンモデル
・新車・中古価格
新車:不明
中古:700~800万円
156
・生産期間
1998~2005年
・特徴
欧州カーオブザイヤーに選ばれた人気車種。
ツインスパークエンジンやなめらかなスタイリングが定評。
・新車・中古価格
新車:376万円
中古:26~248万円
4C/4C スパイダー
・生産期間
2013~2020年
(4Cスパイダーは2015年~)
・特徴
アルファロメオ初のMR車。
6速DCTで走りを楽しめるピュアスポーツカー
・新車・中古価格(1代目)
新車:849~1131万円
中古:589~828万円
MiTo(ミト)
・生産期間
2008年~
・特徴
アルファD.N.Aシステムで3種類の制御設定ができる。
かわいらしいデザインから、女性にも人気の車種。
・新車・中古価格
新車:269~348万円
中古:30~270万円
Alfa Romeo Stelvio(ステルヴィオ)
・生産期間
2017年~
・特徴
アルファロメオ初のSUV。
最高出力280ps、最大トルク400Nmを発生する2L直列4気筒エンジンを搭載
・新車・中古価格(1代目)
新車:589万円~
中古:396~950万円
人気ランキング
アルファロメオ(FCAジャパン)はYouTubeの公式チャンネルでオンラインイベントを配信。
その中で事前に募集した、日本のファンが歴代No.1モデルを選ぶ「ALFA ROMEO総選挙」の結果を発表しました。
- 156
- 4C/4Cスパイダー
- ジュリエッタ
- ジュリア
- SZ/RZ
- ミト
- ステルヴィオ
156は賞にも選ばれていることから、日本でも人気が高いのは当然と言えるでしょう。
4C/4Cスパイダーは最近の車であることを考慮すると、旧車で人気なのは「ジュリエッタ」「ジュリア」といったところでしょうか。
アルファロメオの旧車の維持費
ジュリアやジュリエッタに筆頭されるアルファロメオの旧車は「維持費が高いのでは?」という疑問を持たれる方もいるでしょう。
結論から言うと、アルファロメオの旧車の維持費は、極端に高いわけではありません。
ただし、アルファロメオに限った話ではありませんが、新車にはない旧車ならではの悩みはあります。
続いて、アルファロメオの旧車の維持費について紹介します。
壊れなければ、極端に高いわけではない
冒頭でも紹介しましたが、壊れなければ極端に維持費が高いわけではありません。
なぜなら、近代の欧州車でよく壊れるエアコンやパワステ、パワーウインドウがそもそもついていないため。
さらに、余計な電子制御が入っていないことも、壊れにくい原因といえます。
壊れた部品によっては100万円以上も
ただし、旧車ならではの悩みも当然あります。
それは、「壊れた部品が致命的な箇所だった場合、100万円以上かかる可能性がある」ということ。
いくらきれいに維持していたとしても、50年以上前の車ですから、劣化や消耗はしています。
どこが消耗しているのかは、プロでも見極めが難しいので、ある意味運と言えるかもしれません。
大半の部品は出回っている
そして、大半の部品は市場に出回っています。
意外にも「国産の旧車よりも部品を探しやすい」という声もありました。
また、現在製造されていない部品でも、オークションサイトやSNSといった購入できる環境が整っています。
その点では、一昔前よりはるかに維持しやすくなったと言えるでしょう。
そして、関東や関西にはアルファロメオの旧車専門店がいくつかあります。
専門店とコネクションを作っておくことで、安く部品が手に入ったり、メンテナンスのアドバイスをもらえたりするかもしれません。
もちろん個体差はある
これは最近の車でも変わりませんが、旧車でも個体差があります。
同じ車種でも壊れてばっかりな個体もあれば、全く壊れない個体も。
製造段階での問題や、先代オーナーたちの乗り方によって変わってきますので、当たり外れはあるものと考えておきましょう。
見極めは難しい
残念ながら見極めは難しいです。
1度でも中古車を購入した経験がある方だと分かるかと思いますが、外見がきれいでも中身がボロボロだったということはよくあること。
外観だけで安易に選ぶのだけは、やめておきましょう。
ただし、全く見極められないかというと、そうではありません。
現社確認の時は、以下の場所に注意しておきましょう。
- トランクやボンネット、フェンダーの付け根にサビはないか
- サイドシールのドアヒンジ下に、つなぎ目のラインはあるか
特に2つ目は「腐食による補修」の可能性があります。
放置車だったり、メンテナンスを怠っていたオーナーだったりすることもありますので、注意しておきましょう。
不安ならレストアも検討を
とはいえ、ハズレをひいたらどうしようと考える人もいるでしょう。
不安な人は、レストアの検討がおすすめ。
後ほど紹介するアルファロメオの旧車専門店では、レストアも受け付けています。
納車前に依頼することもできますし、購入後にお願いすることも可能です。
相応のお金がかかりますが、安心してアルファロメオの旧車を楽しむためには欠かせないでしょう。
エアコンはない
アルファロメオの旧車には「エアコン」がありません。
つまり、夏は猛暑、冬は極寒の中を運転する必要があります。
今までエアコン付きの車ばかり乗っていたという人は、心の準備をしておきましょう。
しかし、DIYでエアコンをつけるのも不可能ではありません。
以下ブログのオーナーさんは、なんと自前でエアコンをつけています!
どういう風につけたか気になる方は、ぜひ読んでみてください。
https://blog.goo.ne.jp/autoitalia1985/e/9ecfc46daac448b21d5a0322147bbac9
アルファロメオの旧車を購入したい
アルファロメオの旧車が買えるお店をご紹介します。
気になる車輌が見つかれば、ぜひ訪問してみましょう。
デルオート(神奈川県川崎市)
まずは、神奈川県川崎市にある「デルオート」です。
デルオートはジュリオやジュリエッタの在庫台数No.1であり、レストアや修理も受け付けています。
在庫はジュリアとジュリエッタ(旧車モデルのみ)で合わせて10台あり、大半が「Ask」となっています。
しかし、唯一ジュリア1台だけ価格がついており、423.5万円で販売されています。
どのような車輌があるのかは、以下のHPをご覧ください。
Sportiva(茨城県つくば市)
次に、茨城県つくば市にあるアルファロメオ専門店「Sportiva」です。
Sportivaはデルオート同様に、車両販売はもちろん、維持やメンテナンスも受け付けています。
しかし、2021年6月12日現在、アルファロメオの旧車の在庫がありません。
もし、Spotivaで購入を検討される人は、1度問い合わせをしてみましょう。
業者オークションなどで、とっておきの1台を探してくれるかもしれませんよ。
問い合わせは下のHPからどうぞ!
https://www.sportiva-italy.com/
関西ならホリイトレーディング(京都府京都市)
ここまで関東の店を紹介してきましたが、関西にも「ホリイトレーディング」というお店でアルファロメオの旧車を購入することができます。
ホリイトレーディングはアルファロメオのスペシャルショップで、その歴なんと28年。
そしてトレーディングと名前がついているように、海外からの輸入も受け付けています。
ホリイトレーディングには現在、ジュリエッタが1台販売されています(550万円)。
気になった方は、1度ホームページを確認してみましょう。
http://www.horii.info/home.html
La Storia Speciale
最後に、「La Storia Speciale」について紹介します。
「La Storia Speciale」は、2020年9月に愛知県の幸田サーキットで開催された、アルファロメオ好きの集まりです。
2010年、アルファロメオが100周年を迎えたときに立ち上げたFacebookグループ「アルファロメオ友の会」が主催。
今までプチオフ会などは開いていたそうですが、アルファロメオ110周年かつ友の会10周年という節目に大きなイベントを開くことにしました。
コンセプトは「自由にアルファロメオ好きが交流する」ことで、車種や年式で分けることなくコース上にずらりと並べるようにあえてしていたとのこと。
この方法が成功したようで、普段はSNSでしか繋がれない人々がアルファ談議に花を咲かせていました。
また、イベントには出展ブースが多数あり、以下のようなものを見たり購入したりできました。
- イタリアのエナジードリンク
- ドライビングサングラス専門メーカー
- アルファロメオに強いプロショップの数々
- クルマ中心のイラスト工房
- トランスアクスル系のクラブ
- 雑誌・書籍を特別価格で提供していたCGブース
- フードコート(なんとイタリアンのみ!)
- 公式アンバサダープログラム「We Love Alfa Romeo」のメンバー募集
特に公式アンバサダープログラムは大盛況で、参加者のアルファロメオ熱がひしひしと伝わってきます。
次回の開催などは特に記載はないですが、Facebookグループに参加すれば何かしらの案内が届くようになります。
アルファロメオの旧車を買うと決めたら、ぜひ入会してみてはいかがでしょうか。
※Facebookグループの参加費は無料です。
まとめ
この記事では、アルファロメオの旧車の歴史や車種、維持費、販売店について解説しました。
アルファロメオは「感情を動かす車」というコンセプトを掲げていますが、まさしくその通りです。
特にアルファロメオの旧車は、最新の車にはないダイレクトさが伝わってきて、病みつきになります。
実際、筆者もジュリエッタを試乗してみて、楽しさのあまり購入してしまいました。
ガレージライフでは、他にもフェラーリやアルピーヌA110などを紹介しています。よかったら、読んでみてくださいね。