こんばんは。はっしーです。Alpine A110が納車となり、第一弾の紹介記事を先週公開しましたが、歴史とフロント周りを説明しただけでお腹いっぱいの量になってしまったので、記事を分けてその続きを書きます!
お尻から見た画像です。この頃はまだコーティング前ですがツヤッツヤです。リアセクションにあるロールバーがよく見えます。ロールバー後ろには黒いレザー部分が見えますがその下にはエンジンが入っています。タイヤより後ろのオーバハングにエンジンがあり後輪を駆動するのでRRのレイアウトになります。フロント部分にはスペアタイヤとガソリンタンク、スペアタイヤの下にラジエーターがあるだけですから前が軽く、後ろに重量物が寄っています。車検証の重量を見ると、前輪車軸が290kg、後輪軸重が490kgとあります。総重量の62%が後輪側というリアヘビーな状態です。普通は50:50の重量配分が理想だとか言いますよね。これってよくない状態なのでしょうか?
実はそうとも言い切れません。F1の車を考えてみましょう。速さに特化した車ですが重量配分は前後で50:50になっていると思いますか?画像引用元:AUTOCAR
上の画像の③辺り、ドライバの後ろにエンジンがあります。フロントあたりは重量物が少ないですね。つまり50:50ではありません。レギュレーションで「45.5:54.5」〜「46.5:53.5」の範囲とするように決められています。リアヘビーですね。これはブレーキング時にフロントに荷重がかかった時にバランスが良くなり制動力が高まるようにあえてリアヘビーにしているのです。リアヘビーであることは悪いことではありません。A110をリアヘビーに設計した理由は制動力ではなく、トラクションを得るためです。ダートや雪道などトラクションがかかりにくい路面を走るラリーで勝つにはトラクションは重要です。駆動輪の上に重量物を乗せることで、トラクションがかかりやすくなります。いくら大パワーな車であっても、トラクションがかからなければ車は加速しません。ましてやこんな道を走るのですから、トラクションを稼ぎたいという考えに至るのも納得できます。A110は車自体が軽量ですから、少しでも駆動輪に乗せたいという思いだったのではと思います。加えてFRと違いRRはプロペラシャフトが不要になるためコスト面でも重量面でも有利でした。
一方で、RRは後輪の後ろに重量物があるわけですから、当然コーナリング時には重量物は遠心力で横Gがかかりコーナー外側に向かいます。要はスピンする方向に動きます!これに耐えるためにA110は重心を下げています。そもそも車高は1.12メートルしかありません。とにかく低いです。低い重心は横Gに強くなりますが、上の写真もそうですが、ダートなどでは後輪を積極的に滑らせながらドリフトしていくのがA110のスタイルなので、滑り始めてからのコントロール性によってスピンではなく鼻先をコーナー出口方向に持っていくのがA110のような気がします。まだ走り込んでないので、ここは妄想です。
この動画はラリーでのA110ですが、アスファルトではグリップ走行で走ってますね。もちろんダートでは後輪は滑りっぱなしです。綺麗な車体でダートを走るのは気が引けますが、一度はやってみたい!
ちなみに50:50の重量配分が理想というのはFRやFFレイアウトの車にとってです。エンジンが前にありますから前輪の荷重が必然的に大きくなり、後輪に重量を持ってくのが大変なので50:50は理想的と言われています。重量配分よりも車重の軽さの方が車の運動性には重要なファクターですから、軽いは正義です。
こちらもA110のラリー動画ですが、動画の中のA110達と僕のA110と比べて何か違いはありませんか?
トレッドが違いますね!ラリーを走っている車達はよりタイヤの外幅が広くなってオーバーフェンダーがモリモリ出ています。おそらく横Gに対して踏ん張れるようにトレッドを広げているのだと推測できます。ノーマルよりタイヤ一本分くらい外にある感じですね。。。
車のレイアウトについてお話ししてきましたが、前回の続きとして内装などをご紹介していきましょう。
ドアはこんなあたりからノブに手を伸ばして開ける気がしますがこのA110では開きません!なぜならば硬いから!
よくある鍵穴部分を押すスタイルですが、まあ硬い。片手ではできないですし、一回開けると親指が死にそうです。他のモデルではクロームのドアノブがありますがSCにはつきません。ボディの凹みに指を入れて開きます。ドア側のキャッチがあって、その上に赤いテープが貼ってあります。ドアが開いてることを後ろに知らせるためでしょうか。反対側のドアにも貼ってありました。ドアもFRP製なので驚くほど軽いです。
サイドシルはとても薄いです。F355なんて跨ぐのが大変ですがA110はその4分の1もあるか?ってくらいの薄さです。
こちらはF355 のドアを開けたところですが、4倍で効かないですね。サイドブレーキと発煙筒入れもあるので椅子が遠い。A110はドアを閉めるときに肩をすくめないとドアに当たりそうなくらい横方向がタイトです。見た目に小さいですが、乗り込む時にさらに車体の小ささを感じ、ドアを持つと圧倒的な軽さに驚かされます。
ドアの内側ですがRFPのドアに黒のビニールレザーが貼り付けられていて簡素ですがお洒落な仕上がりです。パワーウインドではないので手でノブを回して窓を開けます。ドアに取っ手がないので窓を少し下げて窓の上端を持ってドアを閉めます。取っ手がない車でよくあるドアを引っ張る紐というか帯みたいなのが付いているクルマもありますが、それすらないシンプルさです。
シートはサイドがレザーで真ん中がモケットです。コーディロイみたいな生地になっています。Twitterで教えていただきましたがシムカのラリーという車と同じ型で生地違いだそうです。アルピーヌは規模的には少量生産のメーカーですから全部専用設計せずに部品は汎用的なものから調達してトータルでのコスト削減をしていたことがわかるエピソードですね。他にもウインカーなどの灯火類も他車種から流用されています。
足元は広くはないものの、ちゃんと足を伸ばせる空間があります。大男のコドラ達の仕事場ですから当然ですね。ラリードライバー達はヘルメットをかぶりますので頭上のスペースは十分に確保されています。
天井の丸みのおかげで頭上はスペースたっぷりです。
ハンドルは太くて小さめです。重ハンの車は力が入れやすいようにハンドルが大きめであることが多いですが、A110は小さいです!普通こんなサイズのハンドルだったら重くてたまらないですが前述の通り前輪荷重が軽いので、低速でもそれほど重くありません。停止状態で末切りは厳しいですけど。こちらはジュリエッタのハンドルですが大きいですね。テコの原理で大きいハンドルの方が楽に回せるので、ジュリエッタのようにFRで鼻先が重い車はハンドルが大きい気がします。何台もいるとこういう比較ができていいですね。
A110のメーター周りはクロームメッキがキラキラです。こういうところは専用設計で気合いが入っています。計器よりもメッキのキラキラが目に入って見にくいという方もいてブラックアウトしてしまうケースもあるようです。因みにハンドル左のレバーはウインカーではなく、右がウインカーです。左ハンドルなのに通常と逆なので慣れないと間違えます。メーターは左がタコメーター。レッドゾーンの指示がありません。
真ん中は油圧、電圧、水温があって右がスピードメーターです。ちゃんと全部動きますし、エンジンの回転数によってブレたりしません。デュエットはメーターの針が暴れまくって、タコメーターなら千回転分ぐらい上下しながら動いてます。アルピーヌ A110はメーター読みでもある程度信頼できそうな雰囲気です。メーター左には空気孔があります。ヒーターはtねしてませんが、すごく風が入ってくるのでエアコンなしでも十分涼しく感じます。足元からも走行風が入ってきて、これ本当にクローズドボディなの?って思うくらいです。雨降ったら雨も入ってきて大変だと思います。ラリードライバーは暑苦しいレーシングスーツにヘルメット姿ですから、彼らに配慮して異常に風が入ってくる仕様にしたのではと思います。妄想ですが車のバックグラウンドを考えつつ車を見ると味わいがより深まって楽しいですね。
サイドの後ろ側のガラスは出窓のように開くので風が出て行くようになります。三角窓はありませんがこれも涼しくする工夫です。シートベルトは4点式でガッチリホールドしてくれます。調整がめんどくさいですが、スポーツドライビングする感があります。
ロールバーにガッチリ溶接されていて安心です。stand21というメーカーのようです。知らなくてすみません。
後ろには後席のような凹みがありますが2名乗車の登録です。荷物スペースのなるのでありがたいです。数日に渡るラリー出場時などは重宝すると思います。
スイッチ類はクラシックかつレース用を思わせるシンプルな作りです。適度なやれ感が痺れますね。レストアされたピッカピカの新車のような車もいいですが、道具として使われてきた歴史を感じるのも素晴らしいです46年かけてできたものを簡単にはいじれません。
ダッシュボード下部はデザインなのか劣化なのかわからない世界に入っていますが、これはこれで味もの。デニムの色落ちみたいなものでしょうか。これまでのオーナーさん達が大事にされてきたからこそのやれなので、大事にしていきたいと思います。
今日はA110のレイアウトや内装を中心にレポートしました。文字数が4千文字を超えてきたのでエンジン周りやリア周りは次の記事でご紹介します!
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