よく似ている”キャンピングカー”と”トレーラーハウス”。どちらも日本中を移動しながら場所に縛られず自由に生活できるという点で同じくくりにされがちですが、実は全く別物です。
その為今回はこの2つを比較し、価格や間取り・メリット・デメリット・生活スタイルなど詳しく解説していきます。
どちらが自分に合っているのか知りたいという方や、自由なライフスタイルにあこがれている方はぜひこの記事を参考にしてみてください。
キャンピングカーとは?
まずは「キャンピングカー」がどのようなものなのかを簡単に説明しておきます。
キャンピングカーというのは、”車の中で寝泊まりできる車”です。日本では、キャンピングカー専用の車は販売されていないので、ベースとなる車を購入し改造する。もしくは、すでに改造してある車を購入する必要があります。国産車がベースのキャンピングカーは、住むほどの広さはありません。
日本内だけでも保有台数が10万台を超えていて(2016年日本RV協会調べ)年々人気が出てきています。人気の要因としては、気軽に旅やアウトドアを楽しめることにあります。オートキャンプ場やRVパークなどでキャンプやバーベキュー・ピクニックなどを楽しむ方が多くいます。
日本各地にはトイレや水道・温泉・シャワーなどの設備が充実している「道の駅」が全国に数多くあり、そこでキャンピングカーをよく見かけます。
キャンピングカーは、通勤や買い物・送迎・移動手段・運搬手段としてや、家の庭先に駐車して”書斎”として使用したり、音楽や映像ルーム・災害時の避難所としても使うことができます。
ちなみに、アメリカではキャンピングカーのことを”キャンパー”と呼びます。
キャンピングカーの種類
一口にキャンピングカーといっても、さまざまなサイズや大きさ、形状・スタイル、があります。一般的なキャンピングカー6種類を紹介します。
フルコンバージョン(フルコン)
大型のキャンピングカーで、キャンピングカーの”王様”ともいわれる豪華なつくりのものが多く、キャンピングカーの中では高級車の部類です。
車両にもよりますが、生活に必要なベッドやキッチン・トイレ・シャワーを完備していて、大人4人でも、のびのびとリラックスできる広さがありあます。基本的に外国製ものが多く、アメリカでは「クラスA」という部類になります。
キャブコンバージョン(キャブコン)
キャブコンバージョン(キャブコン)とは”キャブオーバータイプ”(ボんネットがない)の小型トラックをベースに、生活スペースを取り付けたタイプです。”THEキャンピングカー”といった見た目で、アメリカでは「クラスC」という部類です。
リビングが広く、断熱性に優れていて、レイアウトの自由度も高くなっています。幅2m・全長5m前後のものが多く、一般的な月極駐車場やコインパーキングの枠と同じ大きさです。日本でも扱いやすい大きさのキャンピングカーです。
バンコンバージョン(バンコン)
トヨタの”ハイエース”や日産の”NV350キャラバン”などを改造し、ベッドやキッチンを取り付けたタイプです。大型のバンが一般的でしたが、最近では「ミニバン」をベースにしたものもあります。
ボディーに手を加えないので、街中や山道も普通に走る事ができます。運転もしやすく製作も比較的に簡単なので、子連れのファミリーに人気があります。
軽キャンピングカー(軽キャンパー)
軽ワゴンや軽トラックをベースにしたキャンピングカーです。普段使いもしやすく、車輌価格・維持費がお手頃なので、特に人気があるタイプです。車体は小さいので、スペースには限りがあります。
使用人数は1~2名程度です。l
バスコンバージョン(バスコン)
トヨタの”コースター”や日産の”シビリアン”などのマイクロバスをベースにしたキャンピングカーです。国内のキャンピングカーで最も大きなサイズで、約20人乗りの室内はとても広くなっています。
もともとが”バス”なので、乗り心地が快適です。ダブルタイヤが使われているものもあり、走行時の安定性はキャンピングカーのなかでもダントツです。本体自他は加工しないので、比較的価格を抑えることができます。
駐車に大きなスペースが必要になりますが、海外では特に人気があり余す。
キャンピングトレーラー
エンジンがついておらず、別の車で「けん引」し移動するタイプのキャンピングカーです。他のキャンピングカーとの違いは、運転席やエンジンがついていないので、広い空間を自由に改造することができます。つまり、自分のお気に入りの部屋を、好きな所に移動できるイメージです。
トレーラーは切り離して使うことができるので、普段は車を乗用車として使うことができます。ただ、けん引する車には専用の「連結装置」を取り付けないといけません。 ※総重量が750kg以下のトレーラーは「けん引免許」が必要ありません。
キャラバンやトラベルトレーラーとも呼ばれています。
キャンピングカーのメリット・デメリット
【メリット】
- 日常の足として使える
- 自由に行きたい場所にどこでも行ける
- 比較的安価で手に入る
使用目的に応じて沢山のモデルが販売されています。運転に疲れた際に、休憩や仮眠をとることができるのもキャンピングカーのいいところです。さらに、好きなタイミングでトイレにも行けるので、長距離を移動する際には非常に便利です。
【デメリット】
- キャンピングカーの種類によっては室内空間が限られる
- 幅、高さが大きいものは取り扱いに注意が必要
- キャンピングトレーラーは、駐車に2台分のスペースが必要
キャンピングカーにはさまざま種類があり大きさの幅も広くなっています。軽キャンピングカーなどは、利用できる人数が少なく、住居空間が狭いと感じることもあります。逆に大きなキャンピングカーの場合は、駐車場に困ることもあります。さらにキャンピングトレーラーのけん引には慣れが必要です。
トレーラーハウスとは?
トレーラーハウスについても簡単に説明しておきます。トレーラーハウスというのは”自走できない動かせる家”です。旅や移動が目的ではなく「長期間住む」ことが目的です。電気やガス・水道といったライフラインを住宅と同じように使うことができ、その土地に飽きたらまた移動することができます。
建物をそのまま移動することができるので、事務所や店舗・イベント用のブースなどとしても幅広く使われています。利用の用途がたくさんあり、中古でも買い手がつきやすいので、トレーラーハウスが不要になった際には高値で売ることもできます。
トレーラーハウスのメリット・デメリット
【メリット】
- 家を建てるよりも安い
- 中古でも買い手がつきやすい
- 場所に飽きたら移動できる
- 固定資産税・自動車税も納めなくていい
【デメリット】
- 移動に高額な費用がかかる
- タイヤがついているので地面から浮いている・バリアフリーにするのが難しい
- 二階建てにするなどの増築ができない
トレーラーハウスの目的が「定住」なので、一度場所を決めてしまったら、しばらくはそこで生活することになります。移動する際に高額な費用がかかるので、この点をデメリットだと感じる方がいるかと思います。また、車両扱いなので、上に重ねたりすることができず、家族が増えた場合でも生活スペースを広げることができません。
キャンピングカーとトレーラーハウスを徹底比較!
主な目的が”旅”のキャンピングカーと、”定住”が目的のトレーラーハウスの価格や生活スタイルについて比較していきます。どちらも移動できるという点では同じなので、どちらが自分に合っているのか参考にしてみてください。
本体価格
【キャンピングカー】
上記でも紹介したようにキャンピングカーにはさまざまな種類があり、価格もかなり幅があります。それぞれのタイプのキャンピングカーの平均価格を紹介しておきます。
- フルコンバージョン(フルコン):「900万~」
- キャブコンバージョン(キャブコン):「500万~1,000万円」
- バンコンバージョン(バンコン):「200万~700万円」
- バスコンバージョン(バスコン):「1,000万円~」
- 軽キャンピングカー(軽キャンパー):「80万~200万円」
- キャンピングトレーラー(トラベルトレーラー):「150万~300万円」
キャンピングカーの中では、軽自動車を改造した「軽キャンピングカー(軽キャンパー)」が最もお手頃です。
【トレーラーハウス】
トレーラーハウスも大きさによって値段はさまざまです。
家具がついていない、全長約6メートルの小型のタイプで「約240万」・全長9メートルのタイプで「約280万円」となっています。
家具付きのタイプだと値段が上がり、全長7メートルタイプで「約380万」・全長10メートルだと「約540万」となっています。
維持費・メンテナンス費用
【キャンピングカー】
キャンピングカーは「特殊車両」として8ナンバー登録することが可能で、8ナンバー登録をすると維持費がお得になります。主な登録条件は次の通りです。
- 乗車定員の3分の1以上の大人用就寝設備があること
- 10リットル以上のタンクをもつ洗面台等と排水設備があること
- 炊事設備があること
維持費に関して、キャンピングカーは車なので2年に1度”車検”があります。車検については、キャンピングカーでも、乗用車と検査内容が異なることはありません。
それから、キャンピングカーの維持には”税金”や”保険料”がかかります。税金には2種類あり「自動車税」と「重量税」です。保険料は、必ず加入しなければならない「自賠責保険」と任意の「自動車保険」があります。
「自動車税」は毎年納付する税金で、車の排気量に応じて課税の金額が決められます。特殊車両として8ナンバーを取得しているキャンピングカー(2.5リットル~3リットル)の場合だと「4万800円」です。一般の車と比べると「1万200円」安くなります。(東京都主税局資料)
「重量税」は、車の重さによって課税され、車検の時に発生する税金です。自家用車(エコカー)0.5t以下の場合は「4,100円」1t以下は「8,200円」です。8ナンバー取得のキャンピングカーの場合は1t以下「8,200円」・2t以下は「16400円」です。
「自賠責保険」も車検の時に支払います。8ナンバーのキャンピングカーだと2年間で「平均3万4,900円」8ナンバーの軽自動車だと「平均1万6,850円」です。
メンテナンスに関しては電気系統が多いので、一般的な自家用車よりメンテナンス費が必要になります。この他にもガソリン代や駐車場代が必要になります。
ここまでをふまえて、8ナンバーのハイエースをベースにしたバンコンバージョン(バンコン)の費用を計算してみます。
- 自動車税:4万800円
- 車検費用:10万~20万 ※2年に1度(重量税・自賠責こみ)
- ガソリン代:1万~3万
- メンテナンス:2万~5万
となり、1年間で必要な維持費・メンテナンス費は「17万800円」程度です。
ちなみに、どんなに大きなキャンピングカーでも高速走路は普通車の値段で利用できます。
【トレーラーハウス】
トレーラーハウスの維持費もタイプによってさまざまなのです。トレーラーハウスにも車検を取得できる「車検対応型」と車検が取得できない「特殊車両型」の2つがあります。
「車検対応型」は毎年”自動車税”の支払いが必要になります。料金は「1万円程度」です。「車検対応型」のトレーラーハウスを動かす際には”自賠責保険”の加入と”車検”が必要になります。
「特殊車両型」の場合は、車扱いではないので”自動車税”の支払いがありません。また”固定資産税”の支払いもありません。
トレーラーハウスのメンテナンスについては、「雨漏れ」「ライフラインの点検」「タイヤ点検」などが必要になります。雨漏りの修理の場合だと5万~30万円です。ちなみに定期的に点検・メンテナンスを行えば、トレーラーハウスは20年以上は持つといわれています。
キャンピングカーとトレーラーハウスを比較した結果、キャンピングカーの場合は、車とは別に家が必要なので、住宅ローン・家賃など、ここには書かれていない料金も発生します。つまり、単純に1年間でかかる”維持費”・”メンテナンス費”はキャンピングカーの方がかかります。
間取り・生活スタイル比較
【キャンピングカー】
生活スタイルは家というより”別荘”に近いです。
【トレーラーハウス】
一軒家と比べるとコンパクトですが、普段の生活は問題なく快適に行うことができます。
設備を比較
【キャンピングカー】
- トイレ
- 電源(サブバッテリー
- FFヒーター
- ベッド
- 冷蔵庫
- エアコン
- シンク
が基本的なキャンピングカーの設備になります。タイプによってはシャワーや洗濯機などもついています。シャワーがついていないタイプだと、キッチンのシンクからホースをつなぎ、外で浴びます。水はタンクにためておいたものを使用します。
トイレは汚水タンクに溜まったものを、自分で処理する必要があります。
【トレーラーハウス】
電気・ガス・水道などのライフラインは全て完備してあります。
キャンピングカーが向いている方
- 旅が好きで、車で観光地巡りをする
- テントを使わずに、気軽に寝泊りがしたい
- 車内で快適に過ごしたい
- いつでもきれいなトイレを利用したい
- 自由に好きな場所でキャンプがしたい
”旅”や”旅行”が好きで、移動中も快適に過ごしたい!というかたにキャンピングカーは向いています。
トレーラーハウスが向いている方
- 家を建てたくない
- 場所に縛られたくない
- 物が少ないシンプルな暮らしがしたい
- 賢くお得に生活したい
大きすぎる家は必要なく、自分の好きな場所で生活したいという方にトレーラーハウスは向いています。
購入前に詳しく知ろう!
どちらも”移動できる”という点で似ているのですが、使用目的が異なります。ご自身の生活スタイルや目的にはどちらが合っているのかを考えなければなりません。
詳しくなることで、あなたの理想を叶えてくれるキャンピングカーやトレーラーハウスが見つかるはずです。