大きな家が必要ではなく、シンプルで”本当に大切なもの”だけに囲まれた丁寧な生活をしたい。という方にとても人気がある「タイニーハウス」と「トレーラーハウス」ですが、似ているところが多く、自分にはどちらが向いているのか悩んでいる方も多いと思います。
その為、今回は、「タイニーハウス」と「トレーラーハウス」の室内や間取り・価格などを比較してどのような違いがあるのかを分かりやすくまとめてみました。
これから購入を検討されている方は、ぜひ参考にして見てください。
トレーラーハウスとは?
まずは、トレーラーハウスについて簡単にご説明しておきます。トレーラーハウスを簡単に説明すると”タイヤのついたシャーシ(枠組み)の上に小さな家が建っているもの”です。
トレーラーハウスは自走ができないため、排気量2,000CC以上の大きなトラックで「けん引」して動かします。キャンピングカーのように常に移動するというより、定住することが目的です。
トレーラーハウスのメリット・デメリット
簡単にトレーラーハウスの【メリット】と【デメリット】についてまとめておきます。
トレーラーハウスのメリット・デメリットに関してもっと詳しく知りたい方はこちらの記事で解説しているのでぜひご覧ください!
【初心者向け】トレーラーハウスに住む前に確認!メリットとデメリットを徹底解説
メリット
- 新築で家を建てるよりも安い
- 手放したくなった際に、買い手がつきやすい
- 転居先にそのままの状態で移動できる
- ガス・電気・給水・排水・電話・テレビなどライフラインの使用が可能 ※ガスはプロパンガス
- 自動車税を納める必要がない ※車両だが自走できないため
- 固定資産税がかからない
- 市街化調整区域・農地にも設置できる
- 土地に縛られずに自由に移動できる
- すぐに更地に戻せる
トレーラーハウスの内装にいたっては、車内という感じはなく一般的な家とほぼ変わりません。
キッチンやトイレ・お風呂はもちろん、クーラーや冷蔵庫などの家電製品も使うことができるので、通常の生活を送ることができます。トレーラーハウスは地面から浮いているので、地熱を逃がし夏に涼しいというメリットもあります。
家と違って必要なくなった時に、壊す費用も必要なく、高値で売れるというのも嬉しいポイントです。
また、事業利用の場合だと初期費用が大幅に抑えられ、不動産所得税・固定資産税・自動車所得税・重量税・自動車税などの税金がかからず、減価償却期間(少しずつ購入代金を経費としていくこと)が「最短で4年」と短く、節税効果が期待できます。
トレーラーハウスで節税する方法についてはこちらの記事を参考にしてみてください!
あこがれのトレーラーハウスで節税しよう!固定資産税不要などメリットが盛りだくさん!
デメリット
- 運搬・設置に高額な費用がかかる
- 交通量の多い昼間には運べない
- 道路が狭い・障害物がある場合は不可
- 重量があるので、コンクリートで地盤を改良しないといけない場合もある
- 定期的なメンテナンスが必要
- 高床式の住居なのでバリアフリー化が難しい
- 二階建てにしたり、繋げたりして拡張することができない
トレーラーハウスを運ぶ際には「けん引」する必要があり、専門業者に頼むと高額の費用がかかります(約50~100万円)。また、移動させるときには申請申告が必要で、許可が下りるのに時間もかかります。
タイニーハウスとは?
では次にタイニーハウスについて説明します。タイニーハウスとは、tiny=(ちっちゃな・とても小さい)という意味があり「小さな家」のことをいいます。つまり、小さなトレーラーハウスは移動式のタイニーハウスともいえます。
タイニーハウスの大きさには明確な基準はありません。「20平米」程度ものが多く、一般的な住宅の”10分の1”の大きさです。最も大きいものでも「30平米」程度となっています。
具体的な大きさとしては「20平米」は6.0畳のワンルーム・ビジネスホテル程度のサイズ感となっていて、定員は1~2名です。
元々はアメリカが発祥といわれていて「シンプルに丁寧な暮らしがしたい」と、多くの人の共感を得てヨーロッパや日本でも、文化的な広がりをみせています。
住居として使用する以外にも、書斎や子供部屋・ガレージとしても利用できます。
タイニーハウスの種類
プレハブ住宅
プレハブ住宅の起源は1941年に初めて開発された「木式パネル組み立て住宅」といわれています。工場で加工した材料を、現地で組み立てていく方式で、早いものだと1日でできあがります。
また、クレーンなどを使うと移設可能です。「事務所」のイメージがあるかと思いますが、おしゃれなものもたくさんあり、コストを削減でき、品質が均一・耐震性が確保されている、という特徴があります。
コンテナハウス
名前の通り「コンテナ」を住居にしたものです。海外では、大きな荷物を運ぶ際に使用するコンテナを、リフォームして住居に使うケースが多いみたいです。しかし、日本では「建築基準法」をクリアすることができないので「建築専用のコンテナ」を利用する必要があります。
コンテナは縦に置いたり、斜めに置いたりすることもできるので、デザインや間取りの自由度は高いです。
スモールハウス
画像引用元:BESS公式サイト
スモールハウスは、作り方や形に決まりがあるものではありません。タイニーハウス(小さな家)の別の呼び方です。この他には”ミニハウス”・”小屋”・”マイクロハウス”とも呼ばれています。
無印良品が「無印良品の小屋」を発売し一気にスモールハウスが有名になりました。この他にもスノーピークの”juubako(住箱)”amagear(旧KIBAKO)の”ノッポ”などが人気です。
子供の遊び場や趣味の部屋・隠れ家として、お庭にスモールハウスを建てる人も増えています。
ちなみに、木の上に立てる「ツリーハウス」もタイニーハウスです。
ドームハウス
その名の通り、建物の上部が球体になっている建物です。発泡ウレタンでできているものが一般的で、非常に軽く、断熱性に優れています。
発泡ウレタンは”水素”と”炭素”のみでできていて、有害物質を一切含んでおらず安心・安全の優しい素材です。
屋根が球体なので風を受け流すことができるため台風にも強く、”トラス構造”という最も強い構造体の組み方(東京タワーにも使われている)で地震などの災害にも強くなっています。
タイニーハウスのメリット・デメリット
メリット
- 初期費用が抑えられる
- 家のカスタマイズが自由にできる
- 光熱費などの支出が少なくなる
- 老朽化しても修繕する所が少ない
- 必要なもの・必要ではないものを見直せる
限られたスペースでの生活なので余計な物が増えることがありません。掃除も楽になります。低価格で作れるのもが多く、住宅ローンをくむ必要もなくなり精神的な豊かさを得ることができます。
デメリット
- 人が1人でも増えると狭さが際立つ
- 来客を招くことができない・人が宿泊するようなスペースを確保できない
- プライベートなスペースが少ない
最低限のスペースでの生活なので、お客さんが宿泊するようなスペースを確保できないという場合があります。一般的な住宅と比べると、ライフスタイルの変化への対応が難しくなっています。
タイニーハウスとトレーラーハウスの違いを解説!
①区分の違い
タイニーハウス
タイニーハウスの区分は「建築物」です。建築物とは「土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱もしくは壁を有するもの」とされています。
タイニーハウスを建設するうえでの1番の問題点は「土地」です。大きな土地は必要ないのですが、”電気”・”ガス”・”水道”を引く必要がある場合は費用がかさんでしまいます。また日本では取り扱っているハウスメーカーは少ないのが現状です。
ちなみに、一般的にタイニーハウスの耐久性は20年程度といわれています。
トレーラーハウス
トレーラーハウスは、建物といいましたが、現在日本にある多くのトレーラーハウスは”車両”という区分になっています。
車両扱いにするためには条件があり、その条件というのは次の通りです。
- 車輪がついていて、走行可能な状態である
- 車輪以外もので地盤上に固定されている場合、工具なしで固定されているものの取り外しができる
- 設置場所から公道までの道を確保できている
- 階段やデッキが独立している
- 電気・ガス・水道・通信回線などのライフラインが工具なしで取り外せる
タイニーハウスとトレーラーハウスの区分を比較してみると「建築物」なのか「車両」なのか、という違いがありました。下記で詳しく説明していますが、タイニーハウスとトレーラーハウスでは維持費が違ってきます。
どちらも、通常の生活をしていくうえでの不便さはあまり感じられないと思います。
②利用用途の違い
タイニーハウス
- 離れや子供部屋・ゲストハウスとして
- 在宅でのお仕事のオフィスとして
- カフェや美容室・海の家・チャペルなどビジネスの場として
- 仮設住宅・災害時の長期避難所
- ミニマリストの住まいとして
トレーラーハウス
トレーラーハウスもタイニーハウスと利用用途は似ている部分が多く、住宅や店舗として、さらに事務所や仮設住宅・イベント時の移動型ショップなどとして幅広い用途で使われています。
タイニーハウス・トレーラーハウスどちらとも”空き地を有効に利用したい!”という方にとても人気があります。
両者を比較すると、タイニーハウスのほうが、建物としてのデザイン性が高く、自由に作ることができます。またDIYにも向いていて、自分の好きなように改造することができるという特徴があります。
③建築申請の有無
タイニーハウス
タイニーハウスは、床面積が10㎡以下、防火地域・準防火地域でない、用途地域が都市計画区域外、この3つの条件が揃っていれば、建築確認申請は不要です。かかる手間が少ないのは嬉しいポイントです。
トレーラーハウス
トレーラーハウスは上記でも紹介した車両扱いにする条件をクリアすることで、建築物とはみなされなくなり、建築申請が必要なくなります。
余談ですが、トレーラーハウスを移動させる際には「けん引」する必要があり、けん引できる車の種類というのが、3ナンバーの4WD・排気量2,000CC以上の自動車で「けん引免許」が必要になります。
つまり「けん引免許」がない場合には運搬サービスの利用が必須ということです。
しかし「けん引免許」の取り方は実は意外に簡単です。教習所で最短12時間の教習を受け試験に合格すればオッケー。費用は13万円程度かかりますが、雇用保険に加入していれば2万8,000円の補助金をもらえます。
④広さ・間取りの違い
タイニーハウス
タイニーハウスは「小さな家」なので、人によって大きさにはバラつきがあります。一般的な広さとしては駐車場1台分の広さ、2.5m×5mあれば大丈夫です。
間取りについては以下のようなものがあります。
上記は床面積が13.4㎡のタイニーハウスです。
一面がガラス張りになっており、非常に開放感あふれる設計になっています。
こちらは大きさが7.5坪/24.84㎡のロフト付きのタイニーハウスです。
またタイニーハウスに含まれる「コンテナハウス」の場合は、複数のコンテナを並べると広い空間を作り出すことができます。また積み重ねて2階建てや3階建てにすることもできます。
そのためタイニーハウス生活で、もし子供が生まれて家族が増えても、対応することができます。
トレーラーハウス
トレーラーハウスの広さははじめから決まっていて、大きなものから小さなものまで幅広くあります。間取りについてもフルオーダーもできるので、好きなように内装を変更することができます。
間取りについては以下のようなものがあります。
上記はリビングにシアタースクリーンが完備されている非常に贅沢なトレーラーハウスです。広さもタイニーハウスと比べると大きく一般的な住宅と同じように不自由の無い生活を送ることができます。
こちらは事務所タイプのトレーラーハウスです。
無駄のない作りになっており比較的スタンダードなオフィスタイプのトレーラーハウスです。
⑤価格・維持費の違い
タイニーハウス
タイニーハウスの価格は、広さや設備によっても変わりますが、200万円台の前半から1000万円以内が一般的なタイニーハウスの価格です。
水回りを備えている「コンテナハウス」であれば、300~400万円程度が価格の相場となっています。
セカンドハウスとしての「スモールハウス」の価格は、4.5帖タイプのもので100万円程度。6帖タイプのもので130万円程度となっています。
またタイニーハウスは自分でDIYできる「DIYキット」があり、7~9㎡で約40~70万円一般的な価格になっています。
設置型のタイニーハウスの「維持費」には、固定資産税が掛かってきます。年間にかかる維持費がどのくらいかというと、建物本体にかかる税金が「固定資産税+都市計画税=約2.4万円」程度です。
また、建物の課税標準額(年数の経過とともに減少していく)は、27年以降だと、経年減点補正率0.2が適用されるので年間で「固定資産税+都市計画税=約5,000円弱」となっています。
土地にかかる税金としては「固定資産税+都市計画税=年2~3万円」となっています。
※郊外の狭い土地の場合です。
※また都市計画地域郊外の場合は都市計画税はかかりません。
トレーラーハウス
トレーラーハウスの価格としては、水回りの設備がないシンプルなトレーラーハウスでは「200万円台」から購入できます。
設備が整っている(キッチン・シャワー・トイレ・家族で就寝できる)の場合だと「約400~600万円」で購入することができます。
トレーラーハウスの維持費としては、固定資産税・自動車税はかからないので、税金はタイニーハウスと比べると、安くなっています。
固定資産税の対象となるものは、次の3つの要件を満たすものです。
- 3方向以上に窓があり、屋根がついている
- 土地に固定されていて、簡単に移動できないもの
- 目的に応じてきちんと利用できる状態になっているもの
これからの暮らしやすさを考える
今回は「タイニーハウス」と「トレーラーハウス」を比較してみました。移動できるかできないかが大きな違いでしたね。その結果かかってくる税金に違いがありました。
しかし、どちらも低価格で購入することが可能で、様々な魅力にあふれていました。
どちらを選ぶかの基準としては、これからの”暮らしやすさ”を重点的に選ぶことが重要です。「一緒に生活していく人数は変化するか」、「満足できるライフスタイルか」など焦らずにじっくり考えて検討してみてください。